米大衆百貨店大手J.C.ペニーの業績悪化が深刻な状況となっている。同社が発表した2013年1月期の業績は売上高が前期比24.8%減の129億ドル(1ドル=90円換算で約1兆1680億円)、営業損益は13億ドル(約1170億円)の赤字だった。前期に0.2%増だった既存店の売上げ伸び率は、25.2%のマイナスと大幅に落ち込んだ。
同社では11年11月、ディスカウントストア大手のターゲットを経て、アップルの小売部門を統括していたロン・ジョンソン氏がCEO(最高経営責任者)に就任、大衆向けの安売り百貨店のイメージを転換するため、特売を減らしたり、取扱ブランドを大幅に入れ替えたりしたが、これが主要顧客の離反を招いた。
クリスマス商戦を含む直近の四半期(12年11月~13年1月)では、売上高は前年同期比28.4%減、既存店ベースでは31.7%の減収と事態はより深刻化している。インターネット通販部門の売上高は34.4%減(通期では33.0%減)と店舗より落ち込みが大きく、商品政策の根本的な問題を浮き彫りにしている。
ジョンソンCEOは「2012年に行った大胆な事業転換やコスト構造改革が長期的な成長と収益性の改善につながると信じている」と強気の姿勢を崩していないが、機関投資家などから批判の声が高まっており、経営者としての正念場を迎えている。