米ウォルマート、2〜4月期は23%の営業減益 インフレでコスト上昇

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ウォルマートの従業員
インフレによってウォルマートの価格優位性が高まり、食品の販売シェアは高まったものの、コスト上昇を補えず減益となった

 米ウォルマートが発表した2023年1月期第1四半期(22年2〜4月)決算は、売上高が前年同期比2.4%増の1415億ドル(約18兆2600億円)、営業利益が23.0%減の53億ドル、純利益が24.8%減の20億ドルと増収減益だった。

 売上全体の7割近くを占める米国ウォルマート事業の売上高は4.0%増、既存店売上高も3.0%増と堅調だったが、燃料・包材・在庫保管コストの上昇などで、営業利益は18.2%減少した。従業員の待遇改善などで人件費も増加した。食品価格が上昇したことにより、消費者の間では衣料品や住居関連商品への支出を控える動きが出ており、粗利益率も低下した。

 海外事業の売上高は13.0%減、営業利益は35.3%減だった。英国アズダや日本の西友を売却したことで、減収減益となった。ドル高の進行も売上を4億ドル押し下げた。

 会員制倉庫店のサムズクラブ事業の売上高は17.5%増、既存店売上高は10.2%増と好調に推移したが、コスト上昇を補えず、営業利益は20.0%減となった。

 米国のEコマース売上高は1%の微増だったが、20年2〜4月期との比較では38%増加した。また、店舗やウェブサイト、公式アプリなどを広告媒体として使用する広告事業が好調で、広告売上は30%以上伸びた。

 インフレ進行は価格競争力が強いウォルマートの集客力を高める効果があり、同社によれば第1四半期の米国での食品販売シェアは上昇した。

 第1四半期の結果を受けて、ウォルマートは通期の業績見通しを修正した。通期の売上高は従来予想では3%増(為替変動の影響を除く)としていたが、4%増に引き上げた。米国ウォルマート事業の既存店売上高予想は3%増(ガソリン販売を除く)から3.5%増に引き上げた。一方、従来予想で3%増を見込んでいた営業利益は、1%減に下方修正した。

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