円安、さらに家計圧迫の恐れ=食品・雑貨、輸入コスト増

時事通信
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 外国為替市場で約20年ぶりの円安水準となり、輸入物価の上昇を通じた食品や雑貨など生活必需品の一段の値上がりが懸念されている。原材料価格や燃料費の高騰で既に幅広い商品に値上げの波が及んでいるが、円安は原材料などを輸入に頼る企業の仕入れコストの増加に直結。円安が家計をさらに圧迫する可能性が出てきた。

 「円安のメリットは全くない」。カジュアル衣料の「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は14日の決算会見で、語気を強めた。同社は衣料品を海外生産し、日本で手頃な価格で販売することで成長してきた。柳井氏は「日本は世界中から原材料を入れて付加価値を付けて売っている」と強調した。

 原材料の国産率が低い食品業界への影響が大きい。食用油メーカーの担当者は「さらに調達コストが膨らむかもしれない」と頭を抱える。原料の大豆や菜種はほとんどが輸入品。昨年、原料高を理由に複数回の値上げを実施したが、膨らみ続けるコストに追い付かない。

 輸入ワインを扱う企業は「値上げを検討する局面が来るかも」(広報担当)と吐露。「(円安でさらに)エネルギー価格が上昇すれば、製造コストに響く」(食品大手)と、原材料以外の影響を警戒する声も上がる。

 為替変動の影響を避けるため、輸入品を国産に切り替える動きも出始めた。サイゼリヤの堀埜一成社長は「単純値上げはしない」として、輸入に頼ってきたハンバーグやハム類の国産化を進めていると表明。100円ショップ「ダイソー」を展開する大創産業(広島県東広島市)も、商品の7割程度を占める海外産品を順次、国産に変更するという。

 第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは、輸入物価の上昇で今年度は家計負担が月4000円程度増えると試算。このうち約1000円が円安要因といい、「生産拠点を国内に戻すなど、輸入に頼りすぎている経済構造を見直す機会だ」と話している。 

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