上海封鎖、国内工場の停止も=日系企業への影響拡大―新型コロナ
中国・上海で新型コロナウイルスによるロックダウン(都市封鎖)が続き、日系企業への影響が深刻化してきた。現地での生産・営業活動の停止だけでなく、物流の停滞で日本国内の工場が稼働停止に追い込まれる事態にも発展。封鎖解除の時期は見通せず、影響が長期化することへの不安は拭えない。
上海市政府は市東部を3月28日から、西部も4月1日から封鎖。両地域とも当初は5日間の予定だったが、感染状況が好転しないため外出制限がなお続いている。
ソニーグループは市政府の方針に従い、テレビを生産する市内の工場で操業を取りやめた。日立製作所もエレベーターなどの工場で稼働を停止した。
小売りでは、カジュアル衣料の「ユニクロ」を市内に80店以上展開するファーストリテイリングが全店舗を休業。現地に数多く進出するコンビニエンスストアや百貨店も、大半の店舗で営業再開のめどが立たない。コンビニ大手関係者は「店頭から商品がなくなっても、トラックが封鎖エリアに入れず納品できない」と嘆く。
影響は上海からの物流にも及んでいる。海運会社は「鋼材の積み込みを上海から他の港に移すケースがある」と指摘。上海との貨物便の一部を欠航した航空会社は「電子部品や半導体を運んでおり、製造業への影響はある」と懸念する。
実際に自動車業界では、部品調達の遅れから国内工場の稼働停止も広がり始めている。ダイハツ工業は大分第1工場(大分県中津市)の操業を今月1日と4日に一部停止。三菱自動車も11~15日に岡崎製作所(愛知県岡崎市)の操業を休止する。
ロックダウンの期間は6日で10日目となるが、市政府は解除時期を示していない。経済同友会の桜田謙悟代表幹事は、経済活動などを犠牲にしても感染を抑え込む中国の「ゼロコロナ」政策について「中国経済全体を停滞させるリスクが高まってきた」と警戒感を示した。
◇中国・上海のロックダウン(都市封鎖)による日系企業への影響
【国内】
ダイハツ工業 部品調達の遅れで大分第1工場の稼働を4月1日と4日に一部停止
三菱自動車 部品調達の遅れで4月11~15日に岡崎製作所の操業停止
【上海】
ソニーグループ テレビを生産する工場で操業を停止
日立製作所 エレベーターと自動車部品の生産拠点で操業停止
明治 菓子を製造している工場を1日から稼働停止
味の素 調味料などを生産する2工場で稼働停止
ファーストリテ 市内に展開する80店舗以上の「ユニクロ」を全て休業
高島屋 市内の店舗を4月1日から休業
三越伊勢丹HD 市内西部にある伊勢丹を休業
セブン&アイHD 市内のコンビニ約 150店舗のほぼ全てで休業
【物流】
日本航空 空港スタッフが出勤できず、上海と往復する貨物便を一部欠航
全日本空輸 貨物便の一部を欠航