景況感、製造・非製造業とも悪化=ウクライナ侵攻、コロナ禍で―短観予測
日銀が4月1日に発表する3月の全国企業短期経済観測調査(短観)に関する民間16社の予測が25日、出そろった。企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は大企業の製造業、非製造業がともに悪化すると予想。ロシアのウクライナ侵攻による資源価格高騰や新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染拡大が響くと見込んだ。
業況判断DIは、景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いて算出する。今回から調査対象企業が見直され、前回2021年12月短観の指数も新基準で算出した。
大企業製造業のDI予測平均値はプラス11と、前回から6ポイント悪化。「ウクライナ侵攻が原油高として表れ、企業心理を冷え込ませる」(第一生命経済研究所)と分析した。さらに、円安に伴うコスト増や半導体不足による自動車の減産などが企業業績の下押し圧力となる。
大企業非製造業の平均値は5ポイント悪化のプラス5。変異株の感染拡大で宿泊や飲食など対面型サービスを中心に景況感が悪化し、12月調査まで6期続いた改善傾向にブレーキがかかる見通しだ。
先行きのDIは大企業製造業の平均値が横ばいのプラス11、大企業非製造業はプラス8と小幅の改善にとどまった。「ウクライナ情勢の早期沈静化は見込めず、資源価格の高止まりが製造業を全般的に下押しする」(みずほリサーチ&テクノロジーズ)と指摘されている。
2022年度の設備投資計画は、世界的なインフレ加速や欧米の金融引き締めなどで景気の先行きに不透明感があり、企業の慎重姿勢が強まると予想した。
◇3月日銀短観の民間予測
製造業 非製造業
三菱UFJリサーチ&コンサルティング 15(13) 6( 7)
SMBC日興証券 14(16) 5( 8)
明治安田総合研究所 14(15) 5( 7)
農林中金総合研究所 14(13) 6( 8)
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 13(13) 5( 7)
みずほリサーチ&テクノロジーズ 13(11) 7( 9)
BNPパリバ証券 12(14) 4( 5)
野村証券 12(11) 5( 8)
大和総研 11(12) 3( 9)
ニッセイ基礎研究所 10(10) 4( 7)
みずほ証券 10( 9) 6( 7)
大和証券 10(10) 2( 8)
三菱総合研究所 9( 7) 5( 5)
三井住友DSアセットマネジメント 8( 8) 3(10)
日本総合研究所 7( 8) 2( 9)
第一生命経済研究所 6( 6) 5( 6)
16社平均 11(11) 5( 8)
2021年12月短観実績 17(13) 10( 9)
(注)大企業の業況判断DI、カッコ内は先行き、平均は四捨五入、21年12月実績は新基準で算出されたもの