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中国アリババ、今年の「独身の日」セールは過去最も低調か

京東商城(JD.com)による独身の日の宣伝広告
11月1日、中国電子商取引最大手アリババ・グループの今年の11月「独身の日」セールは、これまでで最も低調にとどまりそうだ。写真は京東商城(JD.com)による独身の日の宣伝広告、上海で撮影(2021年 ロイター/Aly Song)

[上海 1日 ロイター] – 中国電子商取引最大手アリババ・グループの今年の11月「独身の日」セールは、これまでで最も低調にとどまりそうだ。中国政府が同社を含む巨大企業に厳しい目を向け、貧富の格差縮小による「共同富裕」を提唱している中で、やみくもに消費をあおって売上高を稼ぐ手法が難しくなっていることが背景にある。

アリババは昨年、従来11月11日のみだったセール期間を1-11日に拡大するだけでなく、有名人の派手なパフォーマンスや注文の取扱高(GMW)の推移をライブで配信。最終的なGMWは過去最多の740億ドルを記録した。

しかしその後中国の電子商取引業界、特にアリババと創業者ジャック・マー(馬雲)氏を取り巻く環境は激変している。政府が習近平国家主席の主導で「プラットフォーム経済」を規制の標的にし、こうした業界がその影響力をほしいままに行使し、行動が行き過ぎていると見なすようになったからだ。

先週には規制当局が業界に対し、独身の日に向けたプロモーションのためのスパム送信を控えるよう通達を出したほか、プラットフォーム企業が追うべき責任項目のリストも策定した。

こうした中でアリババも公式メッセージとして、今年の独身の日セールは「持続可能な発展」と「インクルーシブネス(社会包摂=誰も排除しないこと)」を推進すると表明。有名人のライブ出演動画配信や大幅な値引きも引き続き大きな役割を果たすものの、優先するのは「環境にやさしい消費」と「足場の弱い人たちへの支援」だと打ち出している。

同社のクリス・トン最高マーケティング責任者は先週記者団に「われわれは重視する対象を純粋なGMWの伸びから持続可能な成長に切り替えつつある」と語った。アリババが今年も最終的なGMWの数字を速報するかどうかという質問には直接答えなかった。