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豪小売コングロマリットに学ぶロイヤルティプログラム戦略とは

NRF APAC2024では、マーケティング戦略の1つとして顧客データの活用を掲げる小売業が複数あった。これは顧客の囲い込みだけでなく、本格的なリテールメディアの展開も見込んだ動きである。本稿ではユニークな顧客データ活用を推進する豪ウェスファーマーズ(Wesfarmers)のセッションから同社の最新活用戦略をまとめた。

ブランド横断型、ロイヤルティプログラム

 豪ウェスファーマーズは、1914年に創設された西オーストラリアの農業協同組合を母体とする。84年11月に上場して以降、事業の多角化をすすめ、倉庫型ホームセンター(HC)のバニングス(Bunnings)、総合ディスカウントストア(DS)のKマート(Kmart)やターゲット(Target)、オフィス用品専門店オフィスワークス(Officeworks)、ドラッグストア(DgS)プライスラインファーマシー(Priceline Pharmacy)らを傘下に持っている。2023年6月期の小売売上高は約330億豪ドル(3兆4650億円:1豪ドル=105円で換算)で、豪州で2番目に大きい小売グループになっている。

 ウェスファーマーズは、計1900店以上の店舗とオンラインチャネルを通じた膨大な顧客接点を持っており、月間2億1000万件超のデジタルインタラクションと220万件超のデジタルトランザクション(電子取引)という広範なデジタルリーチを獲得している。

 また、月額4豪ドル(420円)の有料会員制プログラム「OnePass(ワンパス)」やアクティブ会員数940万人超の無料ロイヤルティプログラム「Flybuys(フライバイズ)」といったブランド横断型のロイヤルティプログラムを通じて顧客との関係性を深化させ、信頼のある小売ブランドとしての地位を確立してきた。

ウェスファーマーズのニコル・シェフィールドCDO

 22年には「OnePass」とデータ分析部門、Kマートが運営していたオンラインマーケットプレイス「Catch(キャッチ)」をOneDigital(ワンデジタル)事業として統合し、メディア企業ニューズ・コープ・オーストラリア(News Corp Australia)のCDO(最高デジタル責任者)などを歴任したニコル・シェフィールド氏が担当の執行役員に就任した。グループ共通のデータ基盤をベースに、シームレスで価値あるオムニチャネルでの顧客体験をグループ全体で提供するのがねらいだ。

OnePass会員の購入頻度2.7倍に

 「OnePass」は、店舗での購入に対

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