#14 ロフトや東急ハンズ、100円ショップが持つリアル店舗の価値とは

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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大商圏でのビジネスは成立しにくい

 バラエティショップのほかには、100円ショップなども注目されています。彼らの最大の強みは「激しい商品の入れ替えサイクル」です。ハイスピードで商品を入れ替え、発見性を高く保っていることが長所で、ECではこのような頻度で商品を入れ替えることは基本的に難しいです。ECには実現できない発見の提供が、いつもの日用品を買いに行く業態との差別化にもなっているのです。

 買物の仕方が変わり、ネット上で情報が溢れる昨今ですが、モノを触ったり見たりする価値は残されています。今後はその価値を尖らせる必要があります。

 苦戦を強いられている百貨店は、これまで商圏人口100万~200万人といったエリアで出展しているケースが多かったのですが、売場の規模や場所の確保の問題もあり、最近では以前より小型のお店を複数の拠点に出し始めています。百貨店以外でも、大商圏的なビジネスが成立しないということは多くのプレーヤーが感じており、バラエティショップでもどちらかというと小さい店舗のほうが、そのような影響を受けにくいように見えます。同じバラエティショップでも、専門性の有無やカテゴリーの違いによっては、大きな店舗で展開したままだと今後苦戦することが予想されます。

今後は小型店舗を複数で展開し、小商圏化に対応する必要がある
今後は小型店舗を複数展開し、小商圏化に対応する必要がある

 今後、小売店舗は「小型」がキーワードになるでしょう。大手小売店舗でも、都心に大型店舗を出店する一方で、複数の小型店舗も展開しています。今後は、小型店舗でECの受け取り場所を増やすほか、何か発見があるような店舗づくりを意識する必要があるでしょう。

 

プロフィール

望月智之(もちづき・ともゆき)

1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1 部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。
ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

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記事執筆者

望月 智之 / 株式会社いつも 取締役副社長
1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

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