スーパーvsコンビニのキャッシュレス比率、スーパーがリードする謎 

宮川耕平
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コンビニはクレジット決済の利用割合が低い

 違うといえば、客単価は異なります。CVS3社の客単価はコロナ以前の18年度で600~700円の間です。SMは18年調査では平日で1800円、休日で2000円くらいです(全国スーパーマーケット年次統計調査報告書)。経産省の20年6月調査では、ポイント還元制度の対象になった決済件数のうち、6割は1000円以下なのでコンビニ有利かと思いきや平均単価は2000円で、金額ベースでみるとSM向きにみえます。決済件数の内訳をみると、クレジットが30%、それ以外が70%という構成ですが、金額ベースではクレジットが64%とその他を圧倒します。キャッシュレス決済額の3分の2はクレジット決済なのです。

 ところが、キャッシュレス推進協議会の20年12月調査をみると、CVS3社のキャッシュレス決済額のうち、クレジットが約600億円に対し、電子マネー・コード・その他は合計2700億円にのぼります。全体ではマジョリティであるはずのクレジット決済が、コンビニでは20%以下の少数派になっています。この違いが決済額のキャッシュレス比率に影響を及ぼしているのかもしれません。私自身もCVSで支払う場合は電子マネーかコード決済です。ただ、いずれもクレジットカードにひも付けていますから、クレジット決済を使っていないというよりは、出どころはクレジットだけど、より便利なツールを利用しているだけのような気もします。むしろSM、GMSでは、カードを「出さないといけないから出している」のです。

現金派を取り込むスーパーのハウス型電子マネー

 生活者の決済ツールが、カードからスマホへのシフトを進めるほどに、CVSのキャッシュレス比率は上昇するのかもしれません。あるいはセルフレジのような、カードで決済しやすいレジ会計が浸透すると一段と上昇するのかも。

レジゴー画像
イオンリテール各店舗で導入されている「レジゴー」。専用端末を用いてお客自身が商品をスキャン、キャッシュレス決済でスムーズに買物ができる

 一方、SM、GMSには現金ユーザーをキャッシュレスに持ち込む仕掛けがあります。店頭でハウス型の電子マネーに現金でチャージしてもらうやり方で、地方の中小チェーンにも相当程度、広がっています。ヨークベニマルも基本的にはこのやり方です。もちろん「nanaco」は、もっと広範に使える決済ツールですが、店内のATMやレジなど現金チャージをする仕組みが整っています。非クレジット派もキャッシュレスに持ち込むこうした方法で、SM、GMSがキャッシュレス比率を上積みできている可能性はあるように思います。

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