限られた面積で新たな顧客体験を提供するVRショールームを活用せよ!

兵藤雄之
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イオンモール、ゆめタウンも導入する“呼び出しベル”がある

 “「待たせる時間」を「楽しませる時間」に”をキャッチにしていたのが、映像再生機能付き呼出ベルのレンタルサービス「EXtimer」(Geo Nexus(ジオネクサス)/東京都)だ。

 フードコートにある飲食店などが、注文を受け付けたときに、この呼出ベルを渡し、オーダーの用意ができたら呼出ベルで知らせるというものだが、タブレットや携帯端末のように映像を流せるタッチパネルになっており、関連するCM映像を流したり、企業PRに使ったり、アンケートを行ったりすることも可能だ。

 すでにイオンモール、アピタ、ゆめタウン、アリオなどの商業施設内で導入事例があり、これまでのところ185店舗で活用されているという。

「現在検討中だが、売場での呼出システムに応用できないかという問い合わせが入っている」(同社担当者)

 売場にデバイスを置いておき、用事のあるお客が、タッチパネル上に表示される問合せ項目を選ぶと、担当スタッフの携帯にメッセージを飛ばすといった応用イメージだ。もちろん待っている間は、現状の用途と同じように、CM映像がながされる。

「流通小売りからのニーズがあることがわかった。今後は横展開も考えていく」(同)

無人店舗や在庫レスに対応した「VRショールーム」を提案していたのがシイエム・シイ
無人店舗や在庫レスに対応した「VRショールーム」を提案するシイエム・シイ

 無人店舗や在庫レスに対応した「VRショールーム」を提案していたのがシイエム・シイ(名古屋市/佐々幸恭社長)だ。ポータブル型のVRを装着すれば、特別なコントローラは不要、手の動作だけで3Dショールームを体験できるというもの。

 展示スペースではカーディーラーのVRショールームのデモを体験することができた。コントローラでの操作でなく、目の前に現れる画像に触れる感覚で、車種、ボディカラー、背景などを選んでいくので、デモ画像との一体感があり、臨場感も十分にある。オンラインにすればECとの連動も可能だ。

 視線を動かすだけで商品購入も可能という仕組みを提供するのが「AI CONTACT(アイ・コンタクト)」だ。両手がふさがった状態でもディスプレイ操作が可能になるというもので、「ほしい商品を見つめて選択」し、その商品が画面に出てきたら「購入する」を視線で指示すれば、商品を購入できる。既存の自動販売機・券売機などに代替可能で、医療施設や大型商業施設など、ユニバーサルデザインが求められる環境での利用を想定しているという。音声入力やタッチ操作を併用することも可能だ。

 

 ここで紹介してきたテクノロジーは、いますぐ導入するにはコスト面や使いやすさという点から、まだまだハードルが高いかもしれない。しかし昨今のテクノロジーの進歩のスピードを考えると、これまでのように「機が熟するのを待つ」とか、「同業の事例を見てからにする」といった、のんびりした意思決定では、あっという間に周回遅れ、時代遅れになってしまうリスクも高い。費用対効果を考慮する必要はもちろんあるが、スマホを通して消費者が新しいテクノロジーに簡単に体験できる時代であることを念頭に置き、店舗づくりにおける最新テクノロジーをキャッチアップすることを忘れないよう心掛けたい。

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