[上海 18日 ロイター] – 中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングは18日、経営陣の変更を発表した。景気が減速する中、投資を強化する方針とみられる。馬雲(ジャック・マー)会長の引退発表以降で最も重要な人事異動となった。
武衛(マギー・ウー)最高財務責任者(CFO)が、蔡崇信(ジョゼフ・ツァイ)副会長の後任として、戦略的投資部門を統括する。蔡崇信氏は武衛氏を補佐する。
同社が対話アプリ「微信(ウィーチャット)」で明らかにした。
アリババでは、主力の電子商取引事業がピークを過ぎ、売上高が伸び悩んでおり、クラウド・コンピューティングなど新規事業への投資を進めている。
張勇(ダニエル・チャン)最高経営責任者(CEO)は「イノベーションを保証し、将来に投資するため、アリババは組織を改善する」と表明した。張勇氏は、9月10日に退任する馬雲氏の後任となる。
人事異動は18日付。
関係筋によると、武衛氏の権限拡大は、アリババの投資を同社のエコシステム全体に統合することが狙い。蔡崇信氏は副会長にとどまるという。
武衛氏は2013年以降CFOを務めている。蔡崇信氏は1999年に入社。米ゴールドマン・サックス・グループなどからの出資獲得で手腕を発揮した。
アリババに関する著作があるダンカン・クラーク氏は「(蔡崇信氏は)馬雲氏の右腕だ。馬氏の引退を受けて同氏も辞任するのかという疑問が浮上する」と述べた。
蔡崇信氏はコメントを控えている。
アリババは2014─15年に盛んに対外投資を行っていたが、その後、対外投資のペースは落ちている。クラーク氏によると、国内市場をターゲットにする事例が増えているという。
アリババは、スーパーマーケット部門「盒馬鮮生(Freshippo)」を独立事業とすることも発表。ソフトウェア部門「釘釘(DingTalk)」はアリババのクラウド部門に統合する。