ECと似て非なるネットスーパー、「売れるアプリ」をつくるポイントとは

高倉照和
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「売れるアプリ」をつくるためには……

 ネットスーパーのUIというものは、あくまで売る側のスーパーマーケットが主体となって開発しないと、実際に「売れるアプリ」はできません。これは当然といえば当然で、システムベンダー側は実際にモノを売ったことがないわけですから、彼らが注力するのはいかに整然と商品を並べて表示するかです。これは仕方ないと思います。小売企業には釈迦に説法ですが、商品というのはただ整然と並べただけでは売れません。迫力あるメリハリをつけた陳列、平台、エンドの最大活用、お客さまの心をつかむPOPなど、ありとあらゆる購買誘導の手段を講じる必要があります。常に手を変え品を変え、そして目先を変えることで、初めてしっかりと商品が売れるわけです。

 私どもスーパーサンシは、スーパーマーケット企業向けに「勝てるネットスーパー」の導入支援を手がけJAPAN NetMarket(ジャパンネットマーケット)を19年5月に立ち上げています。JAPAN NetMarketは母体がスーパーマーケット企業であるため、こうした事情が身に沁みてよくわかっています。

 だからこそ、しっかりと売れる、そして売れ続けるアプリ上の売場が構築できるわけです。あとスマホの画面は小さいため、細心の注意を払った、使い勝手をよくするための工夫が必要です。人の指の自然な動きに合わせた動線も大事です。ネットスーパーの画面をみていると、縦と横の動きがチグハグなUIを目にすることがありますが、これではお客さまはストレスが溜まります。また、システムの観点から保険をかけすぎて、やたらと無駄なスペース領域がとってあるような商品提示画面もよく見受けられます。お客さまの立場からすると買いにくくて仕方ありません。

 これは「専門」と称するアプリでも時々やってしまっていることですが、商品一覧の画面に空白を平気でつくっているケースもあります。これは私どもから見ると言語道断のことで、言ってみれば平台やエンドの中に空きスペースを作っているのと同じで、基本が全くわかっていないと言っていいでしょう。ベンダー側から言わせると、これは運用側のスーパーマーケットの問題ということになるのでしょうが、当社の場合は自動的にバナーの大きさを調整したりして決して空白をつくらないようにしてます。狭いアプリ上の売場なのでそういう細かい工夫の積み重ねが物を言います。当然ですが、ネットスーパーというのは見た目が100%ですので、よくありがちな運用の落とし穴を自動でカバーしてあげるシステムがベストです。

リアルの販促をネットスーパーでも展開する!

 もう1つ、システムベンダー主体のパッケージソフトの大きな問題点として、実際の販売結果と合わせたリアルな実験検証ができないということがあります。ジャパンネットマーケットは、母体がネットスーパーで年商50億円以上を売り上げている生鮮スーパーであり、「何をどうやったらもっと売れるのか」を検証してフィードバックすることを40年以上にわたって積み重ねています。そして同時にUIも改善し続けています。

 しかし実際はこれが大変な“金食い虫”でして、当社が2019年より虎の子だった宅配ノウハウ公開に踏み切ったのも、この開発費を集めるためだと言っても過言ではありません。ロイヤリティという名目で開発費の一部を頂き、お互いに商圏がバッティングしない全国有志の流通企業と一緒になって、常に進化する最強最新のプラットフォームを創り上げていく。これが私どもジャパンネットマーケットの目的であり存在意義なのです。

 何はともあれ売場というのはリアルであれ、アプリ上のUIであれ、常に変わり続けなくてはいけません。「お客さまは飽きやすい」ということを常に意識する必要があります。小売企業のみなさまは、店舗の「52週MD」をしっかりと計画立てて用意されていることと思いますが、ネットスーパーの52週MDを計画立てている企業は稀です。少なくともリアル店舗のMD企画を同時にネット上でも反映していかないと、継続的に購買比率を上げていくことは難しいでしょう。

 ネットスーパーが売れないのはリアルよりも販促が劣っているからです。ただそれだけの理由です。何もネットスーパー専用の販促を別途立てる必要はありません。それよりもリアルの販促を、ネットスーパーに個店対応でスライドするだけで見違えるように注文比率そして売上が上がることでしょう。ぜひやってみて下さい。

 次回は「生鮮品を売らないとネットスーパーの旨味は無い」という見地から記事を書いてみたいと思います。

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