チャットボットにライブコマース…ECの将来に影響するトレンドを解説!

山中 理惠 (Rokt 日本代表)
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ライブコマースのプラットフォームが台頭

 テクノロジーにおいては、「購入前」「購入中」「購入後」のチェックアウト体験を強化する技術がECの今後に影響を与えると考えられます。

 購入前:急成長しているトレンドの1つが「チャットボット」です。チャットボットとは、事前に定義された条件、トリガー、イベントに基づき顧客との対話を自動設定するプログラムです。2024年までに世界の市場規模は13億ドルを超え、2021年には企業の80%が何らかのチャットボットを導入すると予測されています。

 もう1つのトレンドは「ライブコマース」です。ロックダウン中に飛躍的に成長しました。ブランドは製品やサービスを紹介しながらバーチャルに視聴者と関わることができ、米国でも「PopShop」や「ShopShopShops」などのプラットフォームが台頭しています。中国ではすでに巨大な市場を形成しており、2020年の推定売上は1000億ドルを超えています。

 購入中:買物客の70%はチェックアウト時に商品を落としており、カート放棄は世界で4兆ドルに上ります。スピード、利便性、パーソナライズは、購入体験に不可欠な要素で、ワンクリックで安全にチェックアウトできる技術が求められています。eウォレットも急速に普及しており、2021年には66000億米ドルに達すると予測されています。

 また、「分散型コマース」、すなわち消費者が別のページ、ウィンドウ、またはタブに移動することなく、体験しているコンテンツから直接購入できるようにする技術も継続して成長が期待されています。EC企業は戦略パートナーと提携し、顧客体験を向上させると同時に、新たな収益源を創出することができます。分散型コマースでは、顧客体験の向上が非常に重要で、AIと機械学習を用いたパーソナライゼーションが成功の鍵になります。

 購入後:購入完了後はブランドロイヤルティを確立するための重要な瞬間です。84%の消費者は、高価なものの購入の際、購入後のコミュニケーションを増やすことが重要だと感じています。一般的なEメールに加え、若年層にはテキストメッセージやプッシュ通知など、顧客セグメントに応じたチャネルを選択する必要があります。

 また、購入後の確認画面は、ECブランドと顧客との重要なタッチポイントです。顧客の購入と関連性の高い自社や第三者のオファーを提示することで、顧客とのより深い関係が構築され、EC企業に新たな収益がもたらされます。

 ECが成長と変化を続けるなか、最も重要なトレンドは、モバイルコマースとパーソナライゼーションです。モバイルデバイスを使用しているお客さまを中心に、利便性、信頼性、効率性を構築し、お客さまに合わせた体験を提供する必要があります。これらは、現在、そして将来的にもEC成功の鍵となります。

 EC業界は大きく進歩しています。ECを成功させるには、消費者向けおよびバックエンド技術への投資と、継続的な進歩に適応する能力が必要不可欠でしょう。

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記事執筆者

山中 理惠 / Rokt 日本代表
グローバルITベンダー、大手コンサルティングファームを経て、複数のスタートアップ企業のGTMやマーケティング戦略に携わる。その後、ITからいわゆるDXにフォーカスを絞り、デジタルマーケティングの初期からSEMやソーシャルメディアの拡大に関わる。2018年から、Rokt(ロクト)の日本代表として国内市場立ち上げと拡大を担う。
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