「デジタル化と小売業の未来」 #15 FABRIC TOKYOなどのD2Cブランドがリアル店舗を重視する理由

望月 智之 (株式会社いつも 取締役副社長)
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ブランドとしての体験を重視するD2C

 従来から、ショッピングは商品を購入するだけでなく、買物という行為そのものの楽しさを提供できるという側面があります。それがネットですべて完結してしまうと、それはそれで楽しい部分もあるかもしれませんが、買物体験の満足度としてはどうしても店舗での購入に比べて劣ってしまいます。

 とくにブランドやD2Cの観点では、ブランドを実際に体験してもらうことは非常に重要です。欲しかった商品をクリックして終わる作業というものは、ブランド体験としては強く残りません。だからこそ、D2Cメーカーなどは、ネットと比べて非効率な点があったとしても、ショールームや体験型の店舗を出店することによって、強い体験価値を顧客に提供し続けているのです。

 世界の流れを見ると、D2Cを前提としないメーカーはすでにほぼいなくなっており、メーカーにとって顧客の情報を直接つなぐことが“生命線”となっています。さらに、消費者の買う場所の選択も変化しており、TVCMを見ない若者が増えている昨今では、大きな潮流となりつつあるD2Cのように「店舗における体験価値」を非常に重要視する傾向が高まっています。このまま、消費者の買物行動における“入口と出口”が大きく変化すれば、店舗の在り方も大きく変化することは間違いないと言えるでしょう。

 

プロフィール

望月智之(もちづき・ともゆき)

1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1 部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。
ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。

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