2019/01/31

「自然の恵みを失うことは、豊かさの根源を失うこと」(イオン名誉会長相談役 岡田卓也)


 イオンは1月22日、東京都内で「サステナブル経営説明会」をメディア関係者とアナリスト向けに開催した。その際に配布された「ESGブランドブック」という冊子の中に大きく記されていたのが、現在イオンの名誉会長相談役を務める岡田卓也氏の冒頭の言葉だ。

 

 サステナブル(持続可能)な地球環境や人間社会を構築するため、イオンは植樹活動や地域での環境教育、人権と多様性を重視した職場づくりなど数多のことに取り組んできた。今でこそ「サステナブル経営」を標榜する企業はあらゆる業種に存在するが、イオンの取り組みは何と1960年代にまで遡る。

 

 当時、イオンの前身である岡田屋の社長を務めていた岡田卓也氏は、自宅の庭の南天(なんてん)の実がならなくなったことで地球環境の危機を実感。65年に岡田屋の本拠である三重県外に店を初めて開業する際、通常行うパーティなどを取りやめ、その代わりに桜の苗木1000本を出店地の愛知県岡崎市に寄贈した。これが、イオンのサステナブル経営のすべての始まりだと言える。その後91年からイオンは植樹活動を国内外で本格的に開始し、植樹した木の本数はこれまでに11カ国で1100万本以上を数える。

 

 小売業の役割は、地域住民の日常生活を便利にするということだけではない。地域に密着する存在として、いかにサステナブルな地域社会を構築するかという責務も担っている。それは売上や利益とはまた別の次元の話。説明会ではあるアナリストから「サステナブル経営が業績にどれくらいの影響を与えているのか」という質問が飛んだが、イオン執行役 環境・社会貢献・PR・IR担当の三宅香氏は「持続的なキャッシュフローなくして(サステナブル経営が)成立しないのは重々承知している」としながらも、「今日やったことが今日の売上に返ってくるわけではないが、とにかく続けていかなければならないと肝に銘じている」と力を込めた。

 岡田卓也氏の南天の木から始まったイオンのサステナブル経営の流れは、今後も止まることはなさそうだ。(y)

 

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