「“禁煙”化は将来の売上げづくりのため」(串カツ田中ホールディングス貫啓二社長)

2019/01/17 10:30
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 串カツ田中ホールディングス(東京都)が2018年11月期の決算を発表した。

 

 売上高76億6000万円(対前期比38.7%増)、営業利益5億5900万円(同44.5%増)、経常利益7億300万円(同35.3%増)、当期純利益4億6900万円(同43.6%増)と堂々たるもの――。

 

 同期の最大のトピックスというべきは、6月に大半の店舗で「全席禁煙」を導入したことだ。

 決算数字にあるように、結果は大成功。既存店は対前期比2.6%増を達成した。

 

 ただし顧客層には大きな変化が見られた。

 同社の主力であった「会社員・男性グループ」の構成比率は31.1%から24.1%に7.0ポイントも落ち込んだ。一方、「ファミリー層」は13.4%から20.8%と7.5ポイントも増加した(2017年6月~11月平均と2018年6月~11月平均の対比)。

 

 顧客層が変わった影響は、①土日祝日の売上増加、②忘年会などイベントの影響減、③天候の影響減、④客単価の減少、と顕著に現れている。

 

「これまで当社は『ビール、ハイボール、串カツ』というイメージが浸透しており、冬場は閑散期。夏場に向けてどんどん売上があがっていくようなビジネスモデルだった。けれども、ファミリー層が増えた結果だろう。この12月は絶好調だった」(貫社長)。

 

 土日祝日型になってきたので、平日は深夜営業時間を縮め、代わりに土日は早めに回転するようにした。すると、人件費の削減にもつながったという。

 

 また、貫社長は「売上原価をいじめなければ、客単価は低ければ低いほどいい」と持論を展開し、客単価の減少を恐れていない。そのほうが気軽に何度も来店できるという理由からだ。

 

「何より子供さんを大事にしたい」と力を込める貫社長は、土日祝の売上づくりのためにゲームとコラボした「ごっこランド」の開催や子供向けに串カツの調理体験ができる場を設けたりと販売促進に力を入れている。

 

「“禁煙”化は、今ではなく将来の売上げづくりのため」と言い、「10年後、20年後に来店したお子様に新たなファミリーとして戻ってきてほしい」と抱負を語っている。

 

 居酒屋での禁煙化は、相当大きな覚悟を強いたはずだが、それに打ち勝つだけの信念が貫社長にはあった。(C)

 

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