京都発のラーメン店「キラメキノトリ」、吉野家HD入りで描く新たな成長戦略

文・構成:崔 順踊(リテールライター)
取材:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

京都から関西一円、そして世界へ――。「鶏白湯らーめん」と「台湾まぜそば」を看板メニューに掲げ23店舗を展開する「キラメキノトリ」が、牛丼チェーン「吉野家」を展開する吉野家ホールディングス(東京都/成瀨哲也社長:以下、吉野家HD)のグループに加わり、新たな成長フェーズに入った。その運営会社であるキラメキノ未来(京都府)の久保田雅彦社長に、吉野家HD入りを決めた経緯から今後の展望までを聞いた。

 吉野家HD傘下で新たな成長へ

 もともと業績が好調だったキラメキノ未来には、これまでにも数多くのM&A(合併・買収)の話が持ち込まれてきた。しかし、久保田社長の関心は低く、本格的な交渉に進んだことは一度もなかった。転機となったのは20246月。日本を代表する外食チェーン、吉野家HDから声がかかった。相手は全国に店舗を展開する「吉野家」――。久保田氏は一度会ってみることを決めた。

 もっとも、「最初から前向きというわけではなかった」と久保田氏は振り返る。だが、面談で耳にしたのは「ラーメン提供食数世界No.1」という壮大な構想だった。そのビジョンに触れるうちに、考え方は大きく変わっていった。

 「自分たちだけでは実現できないスケールの事業に挑戦できることに、強く心を動かされた」と久保田氏は話す。

 決断を後押ししたもう一つの要因は、社員の未来である。京都の中小企業にとどまることなく、大手グループに加わることで社員がより大きな舞台に立てるのではないか。そんな期待も加わって2517日、キラメキノ未来は吉野家HDの完全子会社として新たな一歩を踏み出した。

 

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取材

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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