しまむら高橋新社長がめざす、 ”しまむら偏重”からの脱却の道筋

聞き手:小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
構成:崔 順踊(リテールライター)

業績好調なしまむら(埼玉県/高橋維一郎社長)は2025年2月、さらに成長を加速させるべく、経営体制を刷新した。

前社長の鈴木誠氏が会長となり、「しまむら」の商品部を統括してきた高橋維一郎氏が新社長に就任。従来の代表取締役1人体制から2人体制へと移行した。今後、企業規模の拡大に向けてどのような打ち手を講じるのか。高橋新社長に聞いた。

販促戦略を組みなおし「バースデイ」の事業拡大へ

──25年2月に新社長に就任されました。自身が考える社長としての使命は何でしょうか。

高橋  前社長(現会長)の鈴木が「リ・ボーン」をテーマにした前中期経営計画(22年2月期~24年2月期)を推進し、一度落ち込んだ業績を回復させました。その後を引き継いだ私の使命は、リ・ボーンによって強固になった経営基盤を生かし、成長スピードを加速させることだと考えています。

さいたま新都心ファッションモール
しまむら本社に隣接する「さいたま新都心ファッションモール」では「しまむら」「アベイル」「バースデイ」が共同で出店している

──中長期的にどのような目標を達成していきたいと考えていますか。

高橋  主力事業である「しまむら」の成功事例を、若年層向けのアパレルを展開する「アベイル」、子供・ベビー用品の専門事業「バースデイ」、雑貨が中心の「シャンブル」に広げ、事業規模の拡大をめざします。現在は、しまむらが売上高の約75%を占めており、他事業の成長は急務です。

 そこで、しまむら以外の事業の成長スピードを上げることで相対的に比率を変えていきます。将来的にはしまむらの売上高構成比を50%程度にしたいと考えています。とくに、しまむらに次ぐ規模であるアベイルとバースデイを重点的に伸ばしていきたいところです。

──25年2月期の連結業績は5期連続の増収増益となり、26年2月期第1四半期も成長基調が続いています。足元の好調の要因をどのように分析していますか。

高橋  26年2月期第1四半期は、しまむらとアベイルが比較的順調に推移した一方、バースデイの既存店売上高が前年同月を下回るなど苦戦しました。この課題に対応するため、バースデイで新規のお客さま獲得に向けた販促を強化しています。他の事業とは異なり、お子さまの誕生や成長とともにお客さまが入れ替わる特性を持つため、既存顧客向けの販促では限界があると判断しました。

 そこで今年6月には、バースデイ創設25周年を記念し、

本記事でわかることは

  • インフルエンサーやキャラクターとのコラボ企画を強化し、SNSのデータ分析によって人気の高い商品を開発している。

  • 睡眠関連グッズや姿勢サポートブラなど、時代のトレンドや顧客の健康意識に合わせた自社ブランド商品を開発している。

  • ECサイトでの店舗受け取りサービスを導入し、物流コストを抑えながら顧客の利便性を高めている。

続きを読むには…

この記事はDCSオンライン+会員限定です。
会員登録後、DCSオンライン+を契約いただくと読むことができます。

DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

聞き手

小野 貴之 / ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長

静岡県榛原郡吉田町出身。インターネット広告の営業、建設・土木系の業界紙記者などを経て、2016年1月にダイヤモンド・リテイルメディア(旧ダイヤモンド・フリードマン社)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属し、小売企業全般を取材。とくに興味がある分野は、EC、ネットスーパー、M&A、決算分析、ペイメント、SDGsなど。趣味は飲酒とSF小説、カメラ

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2025 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態