第4回 機能性表示食品の成果と課題

保健機能食品の特性を理解する

 食品の機能はおもに3つに類されます。一次機能は「生きるために必要な栄養機能」、ニ次機能は「食事を楽しむための味覚や感覚機能」です。近年では「身体の調節や体調を整える機能」が三次機能として出てくるようになりました。ここでお話する機能性表示食品や特定保健用食品はこの三次機能に該当します。

 機能性食品は需要拡大に伴い市場も拡大していますが、カテゴリーがあいまいなところがありますので、今回はわかりやすく解説したいと思います。

 国が基準を設定しているのは、特定保健用食品と栄養機能食品の2種です。特定保健用食品は健康増進法に基づく認可制度で、医薬品と同じような審査を経て認められた食品です。「トクホ」とも呼ばれ、商品にはマークが付けられているため消費者の認知度も高くなっています。

 栄養機能食品は、特定の栄養成分を補給するための食品で、栄養成分の機能を表示しているのが特徴です。栄養機能食品は「トクホ」のようなマークはありませんが、1日当たりの摂取目安量に含まれる当該栄養成分量が定められた上・下限値の範囲内にある必要があるほか、栄養成分の機能だけでなく注意喚起表示なども表示する必要があります。特定保健用食品と栄養機能食品を合わせて、「保健機能食品」といいますが、ここに機能性表示食品が加わりました。

 機能性表示食品と特定保健用食品との違いを見てみましょう。特定保健用食品は申請のほか、成分について科学的な検証、実験をし、効果を証明するデータを揃えることが必要になります。一方、機能性表示食品は科学的な検証実験のデータはなくても、発売の60日前に消費者庁へ申請を行うことで認定を受けることができます。特定保健用食品は人体での実証実験が必要ですが、機能性表示食品は文献による実験内容でも申請が可能であるため、規制緩和につながっています。また特定保健用食品は加工食品のみが対象ですが、機能性表示食品は生鮮食品も対象にしています。

 機能性表示食品は、通常の食品表示に加えて、機能性表示食品であること、1日当たりの摂取目安、1日当たりの栄養成分量、機能性関与成分の含有量、届け出番号といった10以上の表示義務項目があります。特定保健用食品と違い実験データの提出は義務付けられていませんが、実際には関与成分効果について客観的なデータを持っていなければいけません。

 機能性表示食品は、トクホと違い生鮮食品も対象になります。生鮮食品は産地の気候などにより栄養成分などの個体差があります。機能性表示食品は関与成分の含有量の表記が必要になるため、たとえば果実であれば糖分(非赤外線・非破壊による)など関与成分の根拠が必要です。農産物や地域産品の場合、生産者の多くは小さな企業ですので、国や県の研究機関がサポートするケースも多く見られます。

 栄養補助食品や栄養調整食品、サプリメントなど、「いわゆる健康食品」と呼ばれる商品が非常に多く出回っています。これらは試験管レベルまたは動物実験レベルでなおかつ国の認可を得ていないものを指します。保健機能食品にも言えることですが、誤解しないでほしいのは、これらは医薬品ではなく食品のため、これを食べたからと言って、必ずしも健康維持に寄与することはありません。そのためこれらの食品の表示には治療、予防、診断、診察といった言葉は使ってはいけないとされています。

 しかし、食品の機能性表示に関する消費者意向調査アンケートによると、上記について消費者は十分な知識を持っていません。「摂取することで病気が治る」と思っている人は若年に多いのです。また、「健康食品はすべて国が認可している」と考えている高齢者は全体の3分の1にも上ります。販売者である流通業に携わる方々は、特定保健用食品や機能性表示食品に、医薬品のような効果がないということを十分理解し、必要があればお客である消費者にきちんと説明する義務があるのです。

 

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http://www.shokuhyoji.jp/html/guidance_bm.html

 

「一般社団法人 食品表示検定協会」とは

食品表示に関る人材の教育、食品表示の向上に関する情報収集・分析等、将来の消費者となる子供たちへの学習機会の提供を行うために設立された一般社団法人

■URL http://www.shokuhyoji.jp/

 

池戸重信

一般社団法人 食品表示検定協会 理事長

農林水産省食品流通局消費生活課長、独立行政法人農林水産消費技術センター理事長、公立大学法人宮城大学食産業学部教授、同大学副学長・食産業学部長等を経て、現在同大学名誉教授、日本農林規格(JAS)協会会長、クリエイティブ食品開発技術者協会理事長等。この間、消費者庁「食品表示一元化検討会」座長、内閣府消費者委員会食品表示部会委員等を務める。

 

文章構成:石山 真紀(ライター)