ホームセンターバイヤーが選ぶ年間ヒット商品2020

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新規機能性、ブランド力、価格が3大要因売場提案も大きくアップ

小誌では毎年、ホームセンター(HC)の店頭で業績貢献度の高かった新商品についてHCの商品部にアンケートを実施し、その中で最もポイントの高かった商品を表彰している。16回目を迎えた受賞商品を発表する。

表彰商品一覧

部門 商品名 企業名
DIY(パワーツール) 「マルチボルト」シリーズ 工機ホールディングス
DIY(ハンドツール) 電ドラボール ベッセル
ガーデニング(薬剤) ベニカXネクストスプレー 住友化学園芸
ガーデニング(除草剤) アースカマイラズ 草消滅 4.5ℓ アース製薬
ガーデニング(園芸・農業機器) 充電式草刈機 マキタ
作業用品・資材(小物類) ネジザウルスリキッド エンジニア
プロユース(ワークウェア) ディッキーズ エアーマッスル® ベスト コーコス信岡
プロユース(墜落・落下防止用品) フルハーネス/ランヤード TJMデザイン
カー・レジャー(洗車・ワックス用品) レインドロップ ソフト99コーポレーション
カー・レジャー(芳香剤) ファブリーズ イージークリップ防カビEXPERT プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン
カー・レジャー(カーナビ・ドラレコ) 前後録画ドライブレコーダーミラー 大橋産業
ペット(ドッグフード) いなば ちゅ~る いなばペットフード
ペット(キャットフード) CIAO ちゅ~る いなばペットフード
ペット(小動物・観賞魚用品) ハビんぐ グラスハーモニー ジェックス
家電・照明(生活家電) キャットファン ヒロ・コーポレーション
家電・照明(調理家電) 電気圧力鍋 ワンダーシェフ
家電・照明(理美容家電) ヘアードライヤー ナノケア パナソニック
エクステリア(物置) グランプレステージ ドアーズ 田窪工業所
文具・日用品(トイレタリー用品) アタックZERO 花王

有効回答企業は、下記の26社(会社名五十音順)
アイリス ダイシンカンパニー、アイリス ユニディカンパニー、イオンスーパーセンター、いない、カインズ、カンセキ、きたやま、グッディ、コメリ、佐久本工機、さとう、サンデー、島屋、ジョイフルエーケー、ジョイフル本田、スーパーバリュー、テーオーリテイリング、西村ジョイ、フタガミ、ホームセンターサンコー、ホームセンターみつわ、ホームセンターヤスサキ、マキバ、祐徳自動車、ユーホー、ロッキー

選定方法
全国約100社のHCにアンケートを発送。アンケートは、「DIY」、「ガーデニング」、「カー・レジャー」、「ペット」、「リフォーム・住宅設備機器」、「エクステリア」、「インテリア」「家電・照明」、「文具・日用品」、「作業用品・資材」、「プロユース」の11部門をさらに73の中分類カテゴリーまで設定(「他」含む)。2018年夏~2019年夏に発売された新製品を対象とし、「最も貢献した商品」について仕入担当者が回答。回答方式は記名式。一部季節性のある商品はそれ以前の発売日の商品、ブランドとしては既存商品だがリニューアルやラインアップした商品も受賞対象とした。上記回答に有識者およびダイヤモンド・ホームセンター編集部による投票の合計から、各カテゴリーの中から最も回答が多かった商品を「ホームセンターバイヤーが選ぶ年間ヒット商品2020」として選定した。

業績貢献度で「利益率」が大幅上昇

グラフ1 
業績への貢献度 指標別回答比率
(全部門の平均)

全部門のアンケート結果を集計した、業績への貢献度(ヒット商品が経営指標の何に貢献したのか)の回答率がグラフ1である。

2020年の結果は、「売上高」「販売数量」「利益額」「利益率」の順位に変動はない。「売上高」は3年連続して60%を超え、「販売数量」も3年連続して40%を超え、「利益額」も同様に3年連続して20%を超えた。

中でも特筆できるのは「利益率」だ。同指標は今年初めて20%台となった。17年のアンケートまで回答率は1ケタ台を推移していたが、18年に11・0%と2ケタに乗せ、19年は11・2%、今年は20・7%と一気に前年の2倍近い回答を得た。

HC各社が、単価の低い商品でも、きっちりと利益を確保するようになった、マーチャンダイジング政策の表れとみてよいだろう。

貢献要因の「価格」「新規機能性」は両輪

グラフ2 
業績に貢献した要因 項目別回答比率(全部門の平均)

ヒット商品が業績に貢献した要因を選択してもらった結果(回答率)がグラフ2である。

「ブランド力」「価格(値ごろ感)」「新規機能性」の3項目は、例年通り上位3位までに入っている。しかし、その順位に変動があった。

今年最も回答率が高かったのは「価格(値ごろ感)」だ。「値ごろ感」は15年までは度々、回答率がトップになることはあったが、16年、17年は3位、18年、19年は2位だった。今年は40%を超えた。

価格面での評価が高いといっても、単に安いという理由ではない。実際に、今年受賞したヒット商品を見渡しても、単価が低い商品とは限らない。これだけの機能があっても買い求めやすい価格、有力ブランドから発売されているのに値ごろ感がある、といった心理が働いた結果と考えられる。そのため、「ブランド力」「価格(値ごろ感)」「新規機能性」上位3項目は、ヒット商品を育てるための必須条件と言ってもよいかもしれない。

2位は「新規機能性」。同項目は17年、18年が1位、19年は3位だった。「ブランド力」は1位だった19年から、20年は3位になっている。

4位は、昨年と同様に、「売場提案(販促強化商品)」である。

同項目の順位は変わらないが、回答率は上昇傾向だ。17年までは15%前後を推移していたが、18年に20・3%となり、19年は24・7%とアップし、今年も同水準を維持している。今年受賞した商品の中には、店頭販促ツールを充実させたり、サンプルを設置したりなど、顧客接点を増やした事例が目立つ。ヒット商品を育てるために、メーカーと売場との協業は欠かせなくなっている。

また、「環境・ユニバーサルデザイン」が、2・6%と比率は小さいながら数値を上げている。高齢者や女性にも使いやすいなど、従来のユーザーの幅を広げる商品がヒット商品として育っているためである。

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