飲食店のテーブルをIoT化し「注文0分、会計0分」を実現
人手不足対策にボクシーズ「Putmenu」が活躍 オーダーシステムを「Microsoft Azure」上に構築

2018/02/05 12:53
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流通小売業や外食産業にもデジタル化の波が押し寄せている。新たなマーケティング手法としてAI(人工知能)やIoTに対する期待も大きい。一方、直面する課題として人手不足の解消も重要だ。その対策にもデジタル化は有効となる。ボクシーズが展開する「Putmenu」は、注文から決済までスマホアプリで完結するソリューション。「注文0分、会計0分」がキャッチフレーズ。少ないスタッフで飲食店舗を切り盛りできる画期的なサービスである。

 

千葉ロッテ球場で16年9月からビーコンを使った情報サービスを提供

 ボクシーズは会社設立から12年。「IoTサービスの総合開発企業」を標榜するだけに、「企画を担当するプランナーからデザイナー、サービスを具体化するエンジニアまで揃っており、顧客がやりたいことを実現できる体制ができている」という点を、鳥居暁社長は強みに挙げる。2012年には子会社のタグキャストを設立し、「他社がやっていない」ビーコンと位置情報関連の技術開発とサービス開発を開始した。

 

 まず取り組んだのが、千葉ロッテマリーンズの本拠地である「QVCマリンフィールド(現ZOZOマリンスタジアム)」での球場IoTサービス。球場内各所に約500個のビーコンを配置。球団公式アプリ「Mアプリ」と連携し、観客がどこにいるかを把握、オーロラビジョンと連動したシェイク機能やクイズへの参加などのエンターテインメントを提供するサービスを16年9月に開始した。

 

表面認証型の位置情報認識素子「PaperBeacon」を活用

 それを応用したのが「Putmenu」である。「開発を開始したのが15年5月」と鳥居社長。これは帝人、2次元通信デバイスの開発企業であるセルクロス、タグキャストの3社が共同でスマホを置くだけでネットワークへの接続を認証する世界初のシート型ビーコン「PaperBeacon」を開発したことが発端だ。「PaperBeacon」は省電力型の近距離通信技術「Bluetooth LE」を使用し、それぞれのシートがID、位置情報を発信する無線素子。

 

ボクシーズ株式会社
代表取締役
鳥居 暁 氏

 「位置情報を使ったビジネス」をターゲットに据えていた鳥居社長は、この応用として飲食店でのオーダーシステムを結び付けた。その店舗第一号が東京・渋谷区にある「Pizza&Winery ESOLA shibuya」だ。「ESOLAを運営するヴィクセス側も話を聞いて“おもしろい”と採用を決めてくれた」という。店舗内にタブレットを設置するのと異なり、「PaperBeacon」ならば各テーブルにシートを貼り付けるだけで済むので大掛かりな設備投資も不要だった。

 

将来の海外進出にらみプラットフォームに「Azure」を採用

 来店客は「Putmenu」から料理を注文し、テーブルにある「Putmenu」のサインの場所にスマホを置けば注文が完了。その段階で、「ソフトバンクまとめて支払い」「ドコモケータイ払い」「auかんたん決済」「LINE Pay」「Alipay」「PayPal」などを使って支払いも完了。店舗スタッフがテーブルに注文を取りに行くことも、レジに行き支払いを受けることもない。それが「注文0分、会計0分」ということだ。

 

 システム構成は「PaperBeacon」とオーダーシステムの「Putmenu」、来店客のスマホだけ。そしてクラウドプラットフォームにはマイクロソフトのクラウドサービスである「Azure」を採用している。

 

 数多あるクラウドサービスの中から「Azure」を選択した理由について、鳥居社長は「マイクロソフトの担当者が熱心で、われわれのサービスにも理解を示してくれた」と話す。

 

 「Putmenu」は12ヶ国語に対応している。それがインバウンドの観光客が増えている状況にフィットしていることは言うまでもなく、この先の「Putmenu」の海外展開も、各地にデータセンターを設けている「Azure」なら容易に実現する。

システム構成図(POS連携)
オペレーションは一切変わらない。アプリから注文されたデータは、POSと連携して、あたかも店員がハンディターミナルで取り次いだかのように、キッチンプリンターから伝票が出てくる。
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イオンモールのフードコートでの利用がスタート

 「ESOLA shibuya」で「Putmenu」が本格稼働したのが17年7月。すべての来店者がスマホでオーダーするわけではないが、興味を持ってオーダーする人も増えているとか。「Putmenu」の使用頻度が高まれば、それだけ店舗スタッフの配置や労働環境の改善、今で言う「働き方改革」にもつながる。

 

 飲食系での「Putmenu」活用の第2弾はフードコートだ。一般的なショッピングモールのフードコートでは、カウンターに行ってオーダーと同時に支払った後、注文した料理ができるのを席で待ち、料理ができれば渡された呼び出し用の端末が鳴ったり震動したりして再びカウンターに行き料理を受け取るという流れ。「Putmenu」を使えばオーダーと決済にカウンターに行く必要がなくなる。呼び出しもスマホのアプリを使えばいい。

 

東京・渋谷の「Pizza&Winery ESOLA shibuya」店内。テーブルからスマホで注文、会計まで済ますことができる
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テーブル裏には気づかれないようにビーコンが仕込んである
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テーブルのpマークにスマホを置けば位置が検出される
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 その利便性に注目し、イオンイーハートがイオンモール幕張新都心のフードコートにある「おひつごはん四六時中」で18年早々、1月16日から「Putmenu」の利用を開始した。「Putmenuは検証を兼ねてスモールスタートが出来る。便利さがわかれば、そこから広がる」と鳥居社長も話している。1月30日には、テーマパークで日本初としてハウステンボスの飲食店でも利用が開始した。

 

 なお、マイクロソフトでは、ビジネスをクラウド展開する際にさまざまな不安や課題を抱える企業を対象に、ニーズに応じて選べる検証メニューを提供するプログラム「Cloud Everywhere」を展開している。ボクシーズの「Putmenu」も提供しているので、この機会に申し込みをしてみてはいかがだろうか。

 

 

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