ウォルマート、コストコ、ホーム・デポを比較!対アマゾン時代の競争戦略

フリーランスライター:松岡由希子、高浦佑介 (ダイヤモンド・ホームセンター編集長)
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アマゾンvsウォルマート、コストコ、ホーム・デポ

アマゾン
各社のポジショニング比較:アマゾン

 競争優位性を確立するべく、4要素のうちの2つを志向する小売企業も少なくない。たとえば、アマゾンは「フリクションレス」を徹底的に追求しながら、「ロープライス」も実現している。ウォルマートは、長年「ロープライス」に強みを持ちながら、近年、ネット通販事業にも注力し、通販サイトで注文した商品を店舗で受け取るBOPIS(バイ・オンライン・ピックアップ・イン・ストア)サービスを広く展開するなど、店舗を効果的に活用した「フリクションレス」を実現しようとしている。

ウォルマート
各企業のポジショニング比較:ウォルマート

 コストコは、ウォルマートと同様に「ロープライス」を強みとしているが、「エクスペリエンシャル」な小売企業でもある。巨大な売場を回遊しながら、限定商品や割引商品を見つける「宝探し」のような仕掛けを組み込んだ顧客体験を提供することで、来店動機につなげ、顧客の購買意欲を刺激している。

コストコ
各企業のポジショニング比較:コストコ

 カーン教授は、米国のホームセンター業界について「米国では、いまだに多くの顧客がホームセンターの店舗に出向いている。ホームセンター業界では、店舗での顧客体験が重要であり、顧客がその価値を認めているのだろう」と評価する。たとえば、ホーム・デポ(Home Depot)は、独占ブランドをはじめ、商品力が高く、低価格の面でも支持されてきたが、近年は、通販サイトの整備やBOPISの拡充など、「フリクションレス」な顧客体験の提供にも積極的に取り組んでいる。

ホーム・デポ
各企業のポジショニング比較:ホーム・デポ

 厳しい競争環境のなか、小売企業がより優れた価値を提供し続けることによって、顧客が求める適正レベルが上がるという面もある。カーン教授は「競争優位性を保つためには、顧客の期待値を常に把握し、必要とされるレベルを超える価値を確実に提供することが重要だ」と説いている。

記事執筆者

高浦佑介 / ダイヤモンド・ホームセンター編集長

2010年東京大学文学部卒業、12年同大学院修士課程(社会心理学)修了。14年ダイヤモンド・リテイルメディア入社。『ダイヤモンド・チェーンストア』誌の編集・記者を経て、19年4月より現職。

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