落日のGMS その4 苦悩の西友、楽天とのネットスーパーが救世主となるか!?

流通ジャーナリスト:森田 俊一
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楽天西友ネットスーパーは救世主となるか⁉

 こうしたなか当面、期待の事業は楽天と共同運営する「楽天西友ネットスーパー」だろう。首都圏に多くの店舗を構え、生鮮食品でノウハウを蓄積してきた西友と1億超の会員基盤、EC(電子商取引)サイトで蓄積した楽天の知見を融合させ、実店舗プラスネットという新たなビジネスモデルの構築に取り組んでいる。実店舗の将来は不透明だが、ネットスーパーは今後、成長期待がかかる分野である。

 しかし、ある経営コンサルタントはこう指摘する。「ネットスーパーだけでは儲からない。楽天が販売する高粗利益率の商品を組み合わせていかに販売するかがカギを握っている」という。

 利益の薄い加工食品や利益がとれるが管理が大変な生鮮食品を物流コスト、人件費をかけて運んで儲かる理屈がない。だから楽天の商品と粗利ミックスでうまく出来るか否か。それに店舗をいかに絡ませるかが勝負だという。今後ネットスーパーの競争が激化するなか、楽天とのコラボでハイブリット(異種混合)を生むかが成功のカギだ。

 西友をめぐっては昨年、一部報道で親会社のウォルマートが売却を検討と報道された。ウォルマートが早々に否定し、現在まで続報はない。しかし、実は交渉は進んでいるのではないかと見る業界関係者はいまなお少なくない。

 ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスの大原孝治社長が関心を示すなど肥沃な首都圏、しかも駅前に多く店を持つ西友の店舗網は魅力的に映るからだ。

 ウォルマートは海外事業のポートフォリオを見直しており不採算の国から撤退、インドなどの新興国や米本土に力を入れている。その過程で、同じく撤退を考えていたイギリスでは、傘下のアズダとセインズベリーの経営統合を画策したが、英当局の判断により不発に終わり、これまで通りの運営を続けていくことが決まった。大きな成長を果たせていないなまま、進出から15年以上が過ぎたウォルマートの日本事業。果たしてこの先、どうなるのだろうか?(次回に続く)

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