食品スーパーと遜色ない生鮮食品売場を実現する=ゲンキー 藤永 賢一 社長

ダイヤモンド・ドラッグストア編集部
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 Genky DrugStores(福井県/藤永賢一社長)の2018年6月期業績は、持ち株会社体制に移行したため前期実績と単純比較はできないが、事業会社ゲンキー(福井県/藤永賢一社長)との比較では、売上高は対前期比13.8%増の948億円、営業利益は同7.3%増の41億円、経常利益は同7.0%増の43億円、当期純利益は同9.6%増の31億円となった。

Genky DrugStoresふじなが・けんいち●1962年10月生まれ。88年4月、個人で「ゲンキーつくしの店」開業後、90年9月ゲンキーを設立し、同社代表取締役に就任。2017年12月、単独株式移転によりゲンキーの完全親会社としてGenky DrugStoresを設立、同社代表取締役社長に就任。

 「売上高、利益ともに過去最高となった要因として、新規出店と既存店改装による生鮮食品の本格導入の効果が挙げられる。月次売上高のうち客数と客単価を前年同月と比べてみても、生鮮食品本格導入以降、客数、客単価ともに増加傾向にあり、売上高は全店ベースで対前期比14.8%増、既存店ベースでは同3.5%増と好調だった。また生鮮食品のロスコントロールが予想以上に順調だったことに加えて、重点メーカー政策や化粧品の推奨販売強化、プライベートブランド(PB)商品の拡充、ネット通販事業からの全面撤退も粗利益高の改善につながったと考えている」

 -出店計画および生鮮食品導入のための改装はどのように進めているのか。

 「18年6月期の新規出店は岐阜県10店舗、福井県8店舗、愛知県10店舗、石川県2店舗の計30店舗。期末店舗数は218店舗となった。生鮮食品売場導入のための既存店改装は128店舗で実施。計画どおりに進んでおり、残りは61店舗だ。現在、福井県、石川県、岐阜県、愛知県の4県に集中的に新規出店しており、店舗数シェアで各県のトップを取ることを目標としている」

 -19年6月~21年6月期の中期経営計画の目標は何か。

 「既存店の生鮮導入改装は18年11月末までに完了予定で、新店はすべて300坪の生鮮導入タイプで出店していく。とくにゲンキーの特徴であるフード&ドラッグ業態との相性がよいと感じている石川県、愛知県への出店を強化する。3カ年計画で石川県に70店舗弱、愛知県には約90店舗出店し、21年6月期に4県合計438店舗をめざす。今期(19年6月期)は福井県8店舗、石川県4店舗、岐阜県17店舗、愛知県12店舗の新規出店を予定している。物流については、岐阜県に投資総額 50億円、延床面積1万3000坪のドライ・チルド・プロセスセンター『安八RDC』を稼働する。外部倉庫をすべて解約して物流拠点を集約することで年間1億円の物流コスト改善につながるほか、自社運営のプロセスセンターにより、外部で加工していた生鮮食品加工の内製化で収益性を改善する。また、北陸エリアの物流網強化策として20年6月期中に福井県の物流センター『丸岡DC』の増床を計画している」

 -中期経営計画の目標達成のカギは何か。

 「当社は完全標準化店舗を推進している。ゴンドラやレジ台数、バックヤードもすべて同じレイアウトにし、オペレーション、品揃えなど徹底標準化することでローコスト経営を実現。作業の単純化が進み、入社3~4年で店長業務が行えるようになる。業界トップの『従業員1人当たり売場面積』で人件費増加を抑制し、商圏人口7000人でも集客と収益を確保できる店を実現する。生鮮食品についても店舗での加工作業や店舗発注作業をなくしたほか、本部主導のマニュアル化、スーパーバイザー制度の徹底により鮮度管理を維持し、食品スーパーと遜色ない生鮮食品売場を実現する。また、店舗開発や物流、教育などの分野でも『自前主義』を貫く。PBは今期、2400SKU、売上高構成比13.5%、粗利益率29.3%を目標とし、3カ年で売上高構成比20%をめざす。

 

『ダイヤモンド・ドラッグストア』 2018年9月15日号掲載 

 

 

 

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