[プロユース]カジュアル志向に対応すると同時にワーク専門店としての品揃えで差別化
● ワークウエア ●
トレンドのデザインやファン付ジャケットなど売れ筋の動向に対応した品揃えが重要
ニッカズボンやつなぎに高いニーズ
プロユースの中でも、ワークウエア市場は成長トレンドにあり、今後も成長が期待されることから強化するホームセンターが多い。中でもカジュアル志向やファッション志向がますます高まる傾向が強い。
ドイトプロ川越店の場合は、そうした一般的に共通するトレンドがある一方で、地域的な特徴も明確にあるという。「たとえば、ニッカズボンは他店ではシュリンク傾向にありますが、当店では、一般的にニッカズボンをはかれない内装業のお客さまの購入も多く、かなりよく売れています。また、近隣に立地する工場向けに、つなぎも売れ筋カテゴリーとなっています」(奈良店長)
こうした細かい需要の違いは、オープン当初から想定していたわけではなく、接客の中から徐々につかみ取っていったのだという。
このほか同店では、稀少性のある人気ブランドを揃えるなど、品揃えの幅広さ、サイズのバリエーション、接客など、さまざまな要素で“買物の楽しさ”を提供することで差別化を図っている。
また全般的にカジュアル志向が強いのは、市場全体の傾向と同様。シーズンごとに登場する新商品への注目度も高い。同店では、店頭に季節品の特設コーナーを広く設けて特売品を展開。さらにワークウエア売場のトップでは、マネキンを使用した着こなしを提案する演出を行っている。ここでは帽子やベルト、シューズなど、トータルなコーディネートをイメージすることができる。
近年はメーカー各社もユーザーの志向に敏感に対応しており、ストレッチ性や防寒性など、ワークウエアならではの機能性や丈夫さを持つ一方、着こなしの自由度につながるカラーバリエーションやシルエットの充実に取り組んでいる。
こうしたトレンドに対応した品揃え強化は、ワークウエア部門に共通したテーマとなっている。
「ストレッチデニムやミリタリー調など、ワークウエアにも常に流行がありますので、そうしたトレンドに対応した品揃えについては常に意識しています」(奈良店長)
またこの春夏シーズンで特徴的だったのは、猛暑の影響でファン付ジャケットの売上が大きく伸びたことだという。ファン付ジャケットや機能性インナーは近年の売れ筋商品となっているが、気候条件がそれを大きく後押しした。ウエアとのセット商品が好調だったほか、これにプラスして着替え用のファン付ジャケットを購入する例も多かった。
ファン付ジャケットは近年バッテリーの持続性や軽さなどの面で技術が進化しており、今後も成長が期待できそうだ。
独自ブランドの展開や多彩なサービスで来店動機につなげる
またドイトプロではオリジナルブランド「職人気質」を訴求している。「己の技能に信念と誇りを持ち、安易な妥協は許さず、納得がいくまで仕事に取り組む人たちを応援する」のがブランドコンセプト。ドイトプロ川越店でも、オープンを記念して専用コーナーを展開しており、一定額以上の購入で「職人気質」グッズのプレゼントキャンペーンを実施。Tシャツやタオル、キャップ、コンベックスや水平器などを景品として揃えている。
奈良店長は「オリジナル商品が浸透して、ブランドとして現場で認知されていくことをめざしています」と語る。
カプセルトイ方式のプレゼントのほか、グッズを揃えたクレーンゲームを設置するなど、ドン・キホーテグループらしい遊び心を加味した訴求にも力を入れている。
このほか奈良店長は「プロユーザーが用品のどこに着目し、どの点を重視して選ぶかは千差万別です。ニーズに的確に対応し、“あの店に行けばいろいろ揃っている”という評判を得ることが重要で、そのために地道にお客さまと対話を重ねていく必要があります」と言う。
常時13人程度のスタッフを配置し、マンツーマンの接客に力を入れて信頼度を高めるほか、買上商品をスタッフが素早く積み込む「即行積み込みサービス」の実施、ゆったりした休憩スペースや喫煙スペースを設けるなど、店舗全体として来店動機につながる取り組みを強化している。
●注目メーカー 秋冬の新製品と戦略
自重堂
人気の「Z-DRAGON」イメージキャラクターに俳優・市原隼人を起用
着実に浸透した“スタイリッシュ&カジュアル”
「Jawin」の秋冬モデルは素材感を生かしたカジュアルワークウエア
自重堂では、2018年秋冬シーズンに向けて、多様な新商品を投入している。
定番の人気シリーズ「Jawin」(ジャウィン)では、綿55%、ボリエステル45%でムラ糸の素材感を生かした「52600」シリーズを投入するほか、カモフラ柄と光沢感を融合させることでデザイン性を追求した防寒「58700」シリーズなども注目商品。
一方、15年以来、同社の新たな基幹ブランドへと成長した人気の「Z‐DRAG ON」(ジィードラゴン)では、伸縮性に優れたストレッチデニム素材にカモフラプリントを施し、他社との差別化を図る「71600」シリーズを発売。デザイン性を追求したハイブリッドモデルだ。
同じく新商品で、バイオウォッシュ加工を施したストレッチ素材の新シリーズ「7 1700」では、ストレッチジャンパーとストレッチカーゴパンツをラインアップ。
フルハーネス着用時に胸ポケットやカーゴパンツがベルトに隠れないように設計されるなどデザイン性だけでなく機能性も兼ね揃えている。
セーフティシューズは3シリーズを投入
「Z-DRAGON」ブランドのセーフティシューズについては、秋冬向けに着脱しやすい履き口でクッション性の高いミッドソールを採用した「S6183」をはじめ、耐滑ソールを採用した「S718 3」「S8182」の合計3シリーズを投入している。
いずれもカジュアルでデザイン性に優れ、カラーバリエーションも充実。値ごろ感のある価格帯を実現することで、さらなる成長をめざす。
さらに今シーズン見逃せないのは、「Z-DRAGON」のイメージキャラクターに俳優の市原隼人氏を起用したことだ。若年層を中心としたターゲット層への発信力やコミュニケーションを強化することでインパクトをもたらすと同時に、ブランド価値のいっそうの向上をめざす。