[プロユース]カジュアル志向に対応すると同時にワーク専門店としての品揃えで差別化
Case Study ●ドイトプロ川越店
店舗独自の取り組みで地域に密着したMDを実現
2018年4月オープンのドイトプロ川越店(埼玉県川越市)
ドイトプロは、建築業、建設従事者などのプロユーザーに特化した業態で、ドイトプロ川越店で3店舗目。埼玉県川越市内の国道254号線沿いで、建築現場への行き帰りにプロユーザー層が立ち寄りやすい立地にある。売場面積は2538㎡で、約10万アイテムを取り扱う。来店客のほとんどをプロユーザーが占める専門業態店だ。
ドイトプロの運営の特徴は、本部商品部とは別に、基本的な品揃えや仕入れの戦略を各店が独自に判断し、実行する権限を持つこと。最も顧客接点に近い各部門の担当者が、顧客の声を聞き取り、ニーズに素早く対応することをめざしている。
同店店長の奈良尚彦氏は、「小金井公園店でも店長を務めましたが、プロ業態においても地域ごとに需要が大きく異なることを実感しています。品揃えの充実度や要望への対応の早さなどは口コミでお客さまの間に伝わりますので、店舗で判断し、素早く対応することが重要になります」という。
ドイトプロ川越店 店長 奈良尚彦氏
オープンから間もないため、来店客の声には積極的に耳を傾けて地域ニーズの把握に努め、要望を受けた商品の導入状況を掲示版に貼り出すなど、レスポンスの早さをアピールしている。
このほかプロユーザーが利用しやすいようにさまざまなサービスを導入している。プロ専用のポイントカード制度である「majicaドイトプロ会員」の場合、プロ会員に対して、プロ会員価格で商品を提供するサービスなどの特典付与も行う。
またドイトは2007年にドン・キホーテグループの一員となっており、グループのノウハウを生かした陳列手法も一部に取り入れている。「驚安の壁」など、ドン・キホーテの店舗で使用されるキーワード入りボードを大きく掲げるなど、値ごろ感の訴求にも力を入れている。
このほかプロ業態としての強みを差別化につなげるため、「価格見積もりや電話注文、取り寄せにフレキシブルに対応するなど、プロのお客さまにとっての便利さを徹底的に追求していきます」(奈良店長)と強調している。
● 安全保護具 ●
デザインへのこだわりと安全志向の高まりに対応
安全靴はカジュアル性とブランド重視がトレンド
安全靴や作業用手袋、安全帯などの安全保護具の重要性は増しており、商品は進化を続けている。
安全靴についてはワークウエア全般と同様、カジュアル志向が強まっている。奈良店長は、「街歩きなどでもまったく違和感のないデザインの安全靴が増えており、人気があります。個性を重視する層はデザインへのこだわりが強く、スボーツブランドなども売れ筋になっていますが、JISなどの規格に沿った商品であることが前提になっています」と言う。
同店では外国人労働者や女性の職人が増えていることに対応し、22~32㎝程度まで、サイズのバリエーションを幅広く取り揃えている。またドイトプロ川越店の場合、周辺に農家が多いため長靴の需要が高いという特徴がある。そのため品揃えの充実を図っており、売上の基盤づくりに寄与しているという。
また作業用手袋について奈良店長は、「お客さまの要望に応じて品揃えを強化している最中です。作業内容や好みに応じてさまざまな商品が売れている状況ですので、アイテム数を増やしつつ、在庫を絞るなど、管理を徹底していく必要があります」と言う。
手袋の場合、気に入ったブランドを長く使用する傾向が強いため、店頭に着実に品物が揃っている状況をつくることが重要、というのが奈良店長の考え。同時に着用サンプルなどを幅広く揃え、リアル店舗の魅力を打ち出すことで通販チャネルとの差別化を図っている。
ハーネス安全帯は法改正に対応したセット商品が好調
法改正により2019年から墜落・転落防止器具についての規制が強化され、作業条件に応じてフルハーネス型の安全帯の着用が義務化されることになっている。現行規格品は段階的に着用や販売が禁止されていくことになる。
「もともと安全保護への意識は高まる傾向にありましたが、安全帯についても実際の法施行に先駆けて新しいルールに沿った保護具を選ぶ傾向が強まっています。フルハーネスのセット商品なども売れ筋になっています」(奈良店長)
同店オープン後の4月頃は、新入社員が入社するシーズンでもあり、先輩や上司と来店して商品を検討し、フルセットで購入していくケースも多かったという。売場では、マネキンを使った高さのある陳列を行うなど、着用シーンをイメージさせる見せる演出にも力を入れている。