DIYショー2015
前回上回る来場者に

2015/10/15 16:00
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女性目線で自分らしい暮らし方の提案に人気

 

DIY・ホームセンター(HC)の商材・トレンドが集結する住生活関連最大級のイベント「JAPAN DIY HOMECENTER SHOW 2015」(以下、DIYショー、主催日本DIY協会)が8月27日から29日までの3日間、幕張メッセ国際展示場で開催され、期間合計で前回を上回る10万6936人の来場者でにぎわった。今回で51回目を迎えたショーの現場をリポートする。
文=太田さとし

 

コト提案が主流に

 

 今回の開催テーマは「暮らしに、ひと手間。つくる、すまいのみらい!」。ここ数年、女性を主体にしたDIYブームが到来するなど、従来型のDIYのイメージが変化している。趣味と実益を兼ねての日曜大工や家屋の修繕、あるいは、収納や片づけ、家事労働の軽減など生活の問題を解決するソリューション提案から、自分らしい住まい方、新しい住まい方を求めるニーズに対応するライフスタイル提案への変化といえるだろう。DIYショーでもそうした市場の変化を反映し、いわゆる「コト提案」スタイルの展示が主流になりつつある。

 

 たとえば、ニッペホームプロダクツ(東京都/山口一生社長)が今回重視したのは、商品の機能や素材をアピールすることではなく、「その商品を使って何ができるかを見せる」ことだ。なぜなら、「消費者が欲しいのは、新しい商品ではなく、商品を使うことによって手に入る新しい未来ですから」(展示担当者)。技術の革新や新しいアイデアなど製品開発の背景にある努力をついついアピールしてしまいがち。そこで、商品そのものではなく、商品を使ってインテリアや室内の塗り替えをするとどうなるか、ブースの装飾を使って完成形を展示することにこだわった。来場者の反応はよく、とくに一般来場者が熱心に見入っていたのが印象的だった。

 

 また、「DIY男前女子部」をテーマに展示を行っていた染めQテクノロジィ(茨城県/菱木貞夫社長)は、家庭のガレージや駐車場などコンクリートやアスファルトの無機質なスペースを思いどおりにカラーリングするアイデアを事前に募集。会場で応募作品の公開コンテストを行い、人気のあった作品を表彰する企画を実施していた。「みんなDIYをやってみたいというより、『こんなことが実現したら楽しい』という願望を持っている。その夢を実現する技術を生み出すのがわれわれメーカーの役割」(同社)。

 

女性が体験しやすいコーナーが人気

 

 人だかりが多かったのが体験型の展示をしていたブースで、中でもとくに目立っていたのは女性が体験しやすいクラフトやしっくい塗りなどの体験コーナーだった。アロンアルファで知られる東亞合成(東京都/中川和明社長)では、針や糸を使わず接着剤で裁縫を提案する展示を行い、ひときわ注目を集めていた。接着剤で張り合わせた布の強度や、水に付けてもほつれない様子を、来場者が足をとめて見入っている。展示担当者は「接着剤を使った裁縫の提案は今回で2年目だが、前回より格段に反応がいい」と話す。実際に、体験コーナーには希望者が殺到していた。接着剤を使った裁縫はテレビなどでも取り上げられ注目度が高まっていたようだ。

 

 一般来場者の人気は壁紙の貼り替えや電動工具が体験できるコーナー。話を聞いた女性は、昼過ぎの時点ですでに、和紙を使った紙細工づくり、カンナ削り体験、フォトフレームづくり、しっくり塗り体験、溶接など、5〜6カ所の体験コーナーを制覇していた。「去年は休日にきたら、人が多過ぎて思ったように体験できなかった」という苦い経験をして、今回はわざわざ仕事を休んで金曜日に来たのだという。

 

 HCマーケットをいかに拡大するか? この大命題の中、今回ショーではとくに女性をターゲットにその拡大を狙った。この流れを受けて、次回ショーにも期待したい。

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