プロショップの魅力を伝える
職人さんドットコム

2015/08/15 17:00
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現場ですぐに役立つ情報を配信するサイト

 

建築・建設現場で働く人に向けた情報発信サイトを運営する職人さんドットコム(兵庫県)。徐々にサービスを充実させており、いまも新たな利用者を増やしている。猪澤幸男社長は「ネットショップが台頭しているが、付加価値型商品の販売ではリアル店舗に優位性がある」と強調する。
文=森本守人(サテライトスコープ)

 

話題の新商品情報を掲載

 

 職人さんドットコムが運営するのは社名と同名のサイト。建築・建設現場で働く人の役に立つ各種情報を無料で提供する。

 

 2006年にPC向けサイトを立ち上げ、13年、スマートフォン向けサイトをスタートさせたことで一気に利用者を増やした。15年7月現在、月間のページビューは約30万、ユニークユーザー(利用者)数は約4万に上る。14年11月の月間ページビューは約25万だったので短期間に2割もアップさせたことになる。

 

 サイトで扱うコンテンツには「プロショップ検索」、「メーカー商品情報」、「モニター募集」、「求人募集」、「みんなの掲示板」の5つがある。

 

 「プロショップ検索」では、ホームセンター(HC)企業のプロ向け業態、金物店、作業服といった専門店の所在地、電話番号などを検索できる。スマホのGPS機能と連動させており、現場から最も近い店を探せる上、クルマでの所用時間も表示可能。15年7月現在、北海道から沖縄まで、1364店舗を網羅する。

 

 「メーカー商品情報」では、メーカーから発売された新商品を中心に掲載。写真入りで価格のほか特徴、使い方を詳しく紹介する。現在、工具や接着剤、作業衣料など有名ブランドメーカーを含む45社の情報を扱う。現場で急に必要になった商品が、近くのどの店で販売しているかも検索できる。

 

 同社は、一部のプロショップ、さらにメーカーと有料契約を交わしており、これが同社の収益源となっている。それらのプロショップ、メーカーはサイトを通じ、自由に情報を発信できる仕組みだ。プロショップは所在地、電話番号のほか営業時間、駐車台数も掲載。さらに自店の特徴やプロモーションなどの独自情報を発信するなど各店とも工夫する。

 

メルマガ配信機能をスタート

 

 利便性の高いサービスの提供をめざす職人さんドットコムだが、事業開始のきっかけは猪澤社長の職歴に関係している。

 

 大学卒業後、大手旅行代理店などでサラリーマン生活を送っていたが、1995年の阪神大震災で実家の硝子店が全壊する。これを受け、会社をやめ家業を継ぐことを決意、ガラス職人、また職長として現場での仕事を始めた。

 

 「あるとき、よく利用していたプロショップが閉店することになった。固定客も多くついていたが、店主に聞けば『事業に将来性が見いだせず、次の代に継がせられない』とのことだった。現場で働いている者からは頼りにされる存在なのに、自らの強みを見いだせない専門店は多く、そんな店を応援したいと思った」(猪澤社長)。

 

 近年、ネットショップが台頭しつつあるが、付加価値型商品の販売ではHCのプロ業態や専門店に優位性があるという。使い方や新機能の特徴などは、商品知識の豊富な店員による接客が不可欠だからだ。

 

 同社ではいまも徐々にサービスを充実させている。

 

 7月下旬にプロショップが独自のメールマガジンを配信できる機能をスタート。8月上旬からは、全国にある月極駐車場や自宅駐車場を一時的に利用できる情報を提供する「akippa」と提携、近くで利用できる駐車場情報を発信している。今後はランチに行ける現場周辺の飲食店情報の掲載や、SNSのような職人同士がコミュニケーションを図れる機能を付加することも検討しているという。

 

 猪澤社長は「現場で働く職人さんにとり、リアル店舗は絶対に必要。さらに利便性の高いサービスにより、多くの人に利用してもらえるサイトをめざしたい」と話している。

 

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