第92回コールドプレスドジュース只今市場拡大中!栄養素を余さず抽出する新提案で専門店も登場

2015/01/15 18:00
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 食生活の中で野菜や果物の栄養を手軽に取り入れる方法の一つとしてジュース類の人気が根強い。そんな中、ここ数年のスムージーブームに続く新たなトレンドとして急成長中なのが「コールドプレスドジュース」だ。

 

 スムージーは、高速回転するジューサーで作り、食物繊維も摂取できるのが特徴なのに対して、コールドプレスドジュースは、野菜や果物を押しつぶすよう時間を掛けて圧搾して作っていて、絞りかすは取り除いているため、サラリとしているのが大きな違いだ。素材を粉砕する時に摩擦熱が発生しにくいため、酵素やビタミン類が壊れることなく、栄養素を抽出できると言われている。

 

 食材を48度以上に加熱せずに食べる食事法のローフードが浸透している米国で、ジューストレンドの主流に躍り出ており、ハリウッドセレブやモデル、エグゼクティブ層が美容や健康のために取り入れていることから、日本でも注目されるようになった経緯がある。

 

 2012年に東京・渋谷の「Sky High(スカイハイ)」がいち早く、このジュースを紹介。昨年から本格的に認知度が高まり、東京・恵比寿の専門店「SUNSHINE JUICE(サンシャインジュース)」はオープンから一年も経たないうちに生産体制を増強するほどの売れ行きに。このほか、東京の代官山や広尾など、ヘルス&ビューティ(H&BC)の最新情報に対して高感度の生活者が多いエリアに「クレンジングカフェ代官山」や、「Why Juice?(ホワイジュース)」、「Trueberry(トゥルーベリー)」といった専門店が次々登場。1杯ずつの販売をしつつ、多くの店では、固形の食事を控えてジュースに置き換え、体の中を浄化させることを狙ったプログラム「ジュースクレンズ」を用意している。

 

 ポーラ・オルビスホールディングスを親会社にもつアクロ(東京都品川区、石橋寧社長)が、天然由来成分やオーガニック認定原料を積極的に採用したスキンケアやメークアップ、ボディケアの製品を展開するコスメブランド「THREE」でも、旗艦店「THREE AOYAMA」(東京・青山)内のダイニング「REVIVE KITCHEN(リバイブ キッチン)」において、オーガニックジュースやスムージーとともにコールドプレスドジュースを提供。THREEのショップや併設するスパを利用する顧客はもちろん、30代以上の女性を中心に、男性客にも利用が広がっている。

 

「ブランドコンセプトを表現する一つの方法として食の提供をしており、身体の外側だけでなく、内面を整えるため、グルテンフリーのフードメニューを出すなど身体に負担のない食のあり方にこだわっています。コールドプレスドジュースも、不溶性の食物繊維を含まないため、消化しやすいのが利点です」と、THREE AOYAMAゼネラルマネージャーの渡邉裕一さんは説明する。

 

 疲労回復に役立つとされるビタミン類を含むオレンジやライムなどの柑橘や、ほうれん草を合わせた「シトラス グリーン」、血行促進を促すとされるリンゴやショウガなどをミックスした「ホット ピンク」、ショウガやパクチーのほかパイナップルやキュウリの酵素で消化促進が期待できるという「スパイス グリーン」など常時4種類を提供する。1杯あたり5分ほど掛けて抽出しており、テイクアウト240mlで900~950円と高額だが、出勤前に朝食として飲む常連客もいれば、ランチタイムのセットメニューとしてハーフサイズで飲む人もいて、「13年10月のオープン当初に比べるとコールドプレスドジュースを注文する人は2倍程度に伸びています」と渡邉さん。

 

 同店でも、1日6本、食事代わりにコールドプレスドジュースを飲む「インナー クレンジング ジュース キット」(6000円)を販売。こちらも、利用者数が当初から倍増していて、月1回のペースで利用するリピーターもジワリ。「市場はまだまだ伸びると思います」(渡邉さん)という言葉通り、今後、日本でも専門店はもちろん、ドリンクメニューの一つとして提供する飲食店がさらに増え、裾野が広がる可能性は高そう。H&BCの拠点であるドラッグストアとしても要注目のトレンドだ。

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