硬貨の両替は、重要な集客装置になる コインスター(Coinstar) CEO ジム・ギャリティ

米国のコインスター(Coinstar)は7月27日、硬貨を紙幣に両替するサービスを日本で開始した。両替する際に9.9%の手数料を支払う仕組みだが、欧米の約2万店を超える小売店舖に設置し、利用者から支持を獲得してきた。日本でも今後5年間で3000~4000店舖にコイン換金機を設置する考えだ。

聞き手・構成=DRMオンライン編集部

ウォルマートの9割の店舗に設置
年間3450億円を両替

──日本に進出するまでの沿革を教えてください。

ジム・ギャリティ●2004年アウターウォール(現コインスター)にオペレーション・ディレクターとして入社。バイスプレジデント、シニア・バイスプレジデントを経て2015年コインスター社社長に就任。コインスター社入社前はThe Brinks Companyにて15年間、様々な分野での管理職業務に従事。セイント・アムセルム大学経営学部卒

ギャリティ 1991年に、当時スタンフォード大学の大学院生が、自宅に眠っている大量の硬貨を“価値ある現金”に変換するサービスを提供しようと、アメリカで創業しました。米国では、細かい硬貨を紙幣に換金するために、多くの人が金融機関に持ち込んでいました。その際、硬貨ごとに袋に包むとともに、手数料も支払う必要があります。こうした煩雑な手続きをとらずに、硬貨を紙幣に交換する方法として、「コインスター」というコイン換金機を開発したのです。

 1992年、サンフランシスコに初めてコインスターを設置しました。早い段階で利用者から支持を獲得することに成功し、2004年には全米50州すべてにコイン換金機を設置しました。2008年からウォルマートでも本格展開しており、9割を超える店舗に導入しています。米国以外では、1998年にカナダ、1999年にイギリスに進出。現在までに米国で約1万7000台、世界全体では9カ国に約2万台を展開しています。1台当たり年間2000万円の硬貨を両替しています。

──どのような小売業態にコイン換金機を設置しているのでしょうか。

ギャリティ 米国ではほぼすべての有力小売業にコイン換金機を設置しており、なかでも食品スーパーが多くを占めています。そのほか、銀行やカジノにも設置しています。欧州でも食品中心に有力小売業にコイン換金機を設置しています。

 米国では年間約26億ドル(約2900億円)を両替しています。1回当たりの両替額は約48ドルです。世界における両替額は年間3450億円に達しています。両替サービスを評価いただき、継続的にその店舖をご利用いただくお客さまも増えています。

──利用者はどのような方が多いのですか。

ギャリティ 米国では、銀行口座を持っていない比較的収入の低い方から、高収入の方まで幅広い方々に利用されています。自営業の方が、貯まった硬貨をコインスターで換金することも多いようです。

──なぜ最初から利用者の支持を獲得できたのでしょうか。

ギャリティ 理由としては、セルフサービスで両替することができるので、銀行に持ち込んでいた時のような煩わしさを感じさせないことが挙げられます。また、銀行以外に硬貨をまとめて紙幣化するサービスはなく、利便性が高く評価されたことも大きいでしょう。

 

手数料収入のほか
客数や客単価アップに寄与

──コインスターの使用方法を教えて下さい。

ギャリティ 自宅にある硬貨をコインスター設置店舗に持参いただき、硬貨をコイン換金機に投入すると、毎分600枚の速さで枚数、金額を算出します。硬貨のカウント後、画面に表示された合計金額で引換券を発行し、サービスカウンターにお持ちいただくと紙幣に交換することができます。

 利用者には9.9%の手数料を負担いただきます。この手数料を当社とパートナーである小売業様でシェアするというのが、当社のビジネスモデルです。なお米国の手数料は11.9%、欧州は日本と同じ9.9%です。

──導入する小売業にとってはどのようなメリットがあるのでしょうか。

ギャリティ 提携する小売業様のメリットとして、まず手数料収入が挙げられます。これは利用者がコインスターを利用するごとに発生しますので、利用者を増やせば増やすほど、小売業様に手数料収入が入ることになります。設置費用は当社で負担しますし、硬貨の回収も当社が行います。ですから、小売業様に導入時、導入後のコストはほとんどかかりません。

 過去に導入店舗でアンケートを実施しましたが、サービスカウンターで交換した紙幣のほとんどは、その店舗で使われていることがわかりました。単価の高い商品を購入される方が多いようです。客単価の上昇が期待できるでしょう。

 また、コインスターのコイン換金機があることで、より多くの方が来店する可能性もあるでしょう。いまのところ競合するのは銀行くらいですから、小売業様が導入するメリットは大きいと自信を持っています。

──硬貨を紙幣以外に交換することもできるのでしょうか。

ギャリティ 欧米では、アマゾン・キャッシュのアプリや「スターバックス」「フォーエバー21」などのギフト券などに交換することもできます。手数料なしで慈善団体に寄付することも可能です。

 利用実績をみると、硬貨を紙幣に両替する方が全体の95%以上を占めています。

 

まずユニー3店舗に導入
5年で3000~4000店舗めざす

──なぜ日本への進出を決定したのでしょうか。

ギャリティ 日本は海外に比べてキャッシュレス決済の比率がクレジットカードを含めても2割程度と低く、われわれにとっては開拓する余地が大きいと判断しました。

 日本では硬貨流通額が4兆4000億円を超えており、米国に次ぐ規模となっています。1人当たりの硬貨保有額も3万円を超えており、硬貨両替の潜在的なマーケットは大きいと捉えています。

──日本での展開について教えて下さい。

7月27日に行われた「アピタテラス横浜綱島」(横浜市)での会見には、ユニーの佐古則男社長も同席した

ギャリティ 当面は欧米と同じようなビジネスモデルを展開していくつもりです。まずは、ユニー・ファミリーマートホールディングス傘下のユニーさんの横浜市内にある3店舗に7月末からコイン換金機を設置しました。

 日本でも欧米と同じく、幅広い方から利用されると見ています。まずはユニーさんの店舗への設置を進め、今後5年以内に他の小売業様を含めて3000~4000店舗にコイン換金機を設置していく方針です。

 日本では「コインスター カウンツ(Coinstar counts)」をいうキャッチコピーを掲げて、コインスターが「硬貨を数える」、そして「(集客にとって)重要である」ことを強くアピールしていくつもりです。

 そして、「(硬貨流通を促進し、硬貨発行を抑制することで)環境に優しい」、「(硬貨が少ない)スマートな暮らし」という意味を込めて「グリーン & スマート(green & smart)」を強く訴求する方針です。

 

ユニーの「アピタテラス横浜綱島」に設置したコイン換金機。コイン入金から紙幣の引換券発行までセルフサービスだ
 

──日本では人手不足対策が喫緊の課題です。コインスターが貢献できることもありそうですね。

ギャリティ キャッシュレス化が進んでいるとはいえ、多くの国ではまだ現金決済が多いのが現状です。日本においては、あらかじめ硬貨を紙幣に両替することで、レジ業務の負担軽減につながるでしょう。

 また、コインスターのソフトウェアを更新することによって、日本においてもさまざまなサービスに対応できると考えています。