「脱・中国」シフトで業績改善図るハニーズ

2018/07/17 10:25
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 大手レディスSPA(製造小売業)企業のハニーズホールディングス(福島県/江尻義久社長)は、2018年5月期決算を発表した。

 

 売上高は、対前期比3.8%減の524億4100万円。営業利益は26億円(対前期比11.3%増)、経常利益28億4900万円(同50.4%増)、当期純利益は1億9500万円(同47.3%減)という結果だった。

 

 ここ数年なだらかに落ち続ける売上高には原因がある。

 主因は中国事業の縮小だ。「お客さまは、中心街の百貨店での購買から郊外モール、Eコマース(EC)にシフトしており、先行き好転の見通しが立たない」(江尻社長)。

 

 2014年5月期には中国国内に589店舗を展開していたが、現在は220店舗。売上高は同32%減、既存店舗成長率は同9.6%減と苦戦を強いられた。この決算で商品評価損4.5億円、固定資産減損2.5億円、経済補償金3億円、中途解約違約金1.2億円の合計11.4億円について引当金等を計上。今年9月末をメドに撤退することを決めている。

 

「脱・中国」シフトは小売事業だけではない。

 海外における中国の生産も縮小の方向だ。現在、同社の国別生産比率は、中国22.2%、ミャンマー31.0%、バングラデッシュ25.7%、ベトナム11.3%、カンボジア8.4%、その他(インドネシア、インド、日本など)1.4%という状況。直近の1年間ではアセアン生産比率は73%から78%に上昇し、粗利益は57.4%から58.1%と0.7ポイントも改善された。さらに2019年5月期までにアセアン比率を80%に高めるとともに、中国への定期発注は控え、スポットのみにしたい意向だ。

 

 一方で、本業である国内事業の売上高は同0.9%増(客数同0.2%減、客単価同2.9%増)とまずまず。既存店成長率は同0.1%減だった。「長雨が続いた8月、寒さの訪れが早く冬物が不足した1月、2月にお客さまの足が遠のいた」(江尻社長)。
 新しいチャネル開拓に取組み、ゾゾタウンに出店し、ECの売上は同45%増と好調だった。

 

 さて、2019年5月期は、ECと新業態開発に注力する。

 従来、同社は「ヤングカジュアル」で業績を伸ばしてきたが、レディスの全ての世代に3つのブランドで対応する。

 具体的には、グラシア(大人系、対象25~45歳:売上構成目標40%)、シネマクラブ(ベーシック、同10~50代:同30%)、コルザ(ヤング系、同15~30歳:同30%)。新業態の目玉は、グラシアをベースブランドにし、大都市圏を中心に売れ筋商品だけを扱う「クロスオーバー」で今秋にプロトタイプ1号店がお目見えする。

 また、現在売上構成の3%を占めるECについては、自社サイトやユーザビリティを改善。選びやすいサイトへの変身を図るとともに、物流センターの出荷機能も強化改善し、3年後のEC化率7%を目指す。
 さらには、これまで独立組織だった服飾雑貨のMDを商品企画に統合し、洋服と雑貨をシンクロさせた売場づくりに努めるという。

 

 こうした施策により、2019年5月期は売上高245億5000万円(同7.9%減)、営業利益14億円(同18.1%増)、経常利益13億5000万円(同0.2%減)、当期純利益7億5000万円(同30.1%増)を達成する。

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