“無人化”を支える技術

少子高齢化、人口減少が止まらない日本において人手不足は火急の課題である。


 厚生労働省の調査では現在の有効求人倍率は1.6倍弱。また総務省は、2016年6648万人の労働力人口が2025年には6149万人に減少すると予測する。
流通業界は従来型のビジネスモデルでは対応できない状況まで追い込まれている。

 

「(コンビニの)24時間営業はこれまでと同じやり方では限界がある」(ローソン〈東京都〉の竹増貞信社長)という言葉が象徴的だ。

 

 では、流通業界はいったい何をすべきなのだろうか?
「人手不足の解決はテクノロジーの活用とイノベーション」と言い切るのは、セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長である。

 

 その具体的解決策は各社各様で実に多岐にわたっているが、中でも近年注目を集めているのは、店舗の無人化(省力化)、無人レジ化だ。

 

 たとえば、コンビニエンスストア業界は、経済産業省の旗振りの下、2017年に「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を発表した。
これを受ける形でセブン-イレブン・ジャパン(東京都/古屋一樹社長)、ローソン、ファミリーマート(東京都/澤田貴司社長)の大手3社は無人レジ化への取組みを本格的にスタートさせている。

 

ドラッグストア業界も後に続く。

 

 ファーストリテイリング(山口県/柳内正社長)傘下のジーユー(東京都/柚木治社長)は多くの店舗にRFID技術を取り込み、無人レジ化と棚卸し時間の削減で成果を出している。

 

 視野を世界に広げれば、この傾向はさらに顕著で、アマゾンドットコム(米)は、本社のあるシアトルにノースキャン&ノーレジ(=Just Walk Out)の「アマゾンゴー」を出店。2018年度中にはシカゴやサンフランシスコなどに8店舗を新規出店する計画だ。

 

 中国では、飲料やおにぎりなどを取り扱うコンテナ型店舗の「ビンゴボックス」が増殖中。今年1月には、そのコンビニエンスストア版の「ビンゴマーケット」の1号店が出店した。さらに、アリババグループは、無人レジのコンビニエンスストアの「TAKE GO」をチェーン展開中。海外有力企業のさまざまな取組みは、日本の小売業にも無人店舗展開のアクセルを踏ませる。

 

 ただ、人手不足の解決策としての“無人化”には問題もある。無人化=ノーサービスであってはならないということだ。

 

 「買物とはファンタスティックなものでレジだけで終わるものじゃない。(中略)店内でいつでもお客の相手ができるように店員を配置し、入口には1~2名を必ず置いている」というのはアマゾンゴーの開発責任者だ。一方、「技術革新によって、消費者が求める商品をいつでも、どこでも、スピーディーかつ最も安い価格で提供するのが真の便利さであり、それを実現するのが無人店舗である」(陳子林ビンゴボックスCEO)と同じように消費者重視を訴えている。

 

 “無人化”を支える技術を活用しながら、顧客満足の最大化を図っていくことに、無人店舗の競争力がある。

 

『流通テクノロジー』誌2018年7月1日号 特集カバーストーリーより