「かかりつけ薬局」化を支えるのはやっぱり人材だなあ

 あるドラッグストアで処方箋の受付を済ませ、薬を待っていた。
 静かに流れるBGMを遮断するように突然、初老の男性が顔を真っ赤にして怒鳴った。
「何で初対面のあんたにそんなことを言わなきゃいけないんだよ!」。

 

聞けば、人間ドックで高血圧を指摘され、初めて降圧剤を服用することになった男性が処方箋をドラッグストアに併設された調剤薬局に持ってきた。処方薬を出しながら、薬剤師が「上下の血圧はいくつですか?」と質問したことにキレてしまったらしい。

 

 そんなことに怒るの?
 という感想を持つ方がいるかもしれない。
 だが、男性の言い分にも、一理ある。

 

《不安感の中で、いやいやながら、ようやくドラッグストアの門戸を叩き、薬を取りに来たのに、若い女性の薬剤師に大きな声で、言いたくないことを事務的に聞かれた》からだ。

 

 病気に罹患したり、未病だったりする人は、自分の症状を他人にさらされたくはないものだ。
 けれども、現在の調剤薬局のつくりでは、たいてい薬剤師との会話は、待合席に筒抜け、丸聞こえだ。
 個人情報保護の観点からも、店舗構造がそんなであるならば、少なくともコソコソと話してほしいところだ。
 もうひとつは聞き方だろう。初対面であるならばなおさらであり、具体的な数字を問うことはせず、体調や普段の生活習慣などを尋ねることから始めることもできただろう。

 

 さて、2018年4月の診療報酬改定では、複数の病院からの処方薬を1つの薬局で管理するという「かかりつけ薬局」に手厚くなっている。
 薬の重複を回避するとともに多剤服用対策もできる、という国の目論見だ。
 確かに国民医療費が42兆3644億円(2015年)から、ますます膨れ上がっていく中で、「かかりつけ薬局」の効果や期待は大きい。

 

 一方、その受け皿というべきドラッグストアは急成長し続け、現在の約1万9000店舗が2025年には3万店、10兆円市場になろうとしている。薬剤師不足は必至だ。
「かかりつけ薬局」を目指すのであれば、その大事な担い手である薬剤師の質を需給バランスが悪い中で上げていかなければいけないだろう。
 至近で言うなら、ナーバスになっているお客を怒らせるような言葉を発さぬことはもちろん、もっと言うなら信頼たりえる人格や人間力が必要になる。
 逆にそうなれないのであれば、「かかりつけ薬局」に、大きなメリットを見出すことは難しい。

 

 すでに「かかりつけ薬局」の店頭は、チェーンストアの鉄則である3S1C(標準化、簡素化、専門化、中央化)だけでは、対応できなくなっている。
 ドラッグストア併設の調剤薬局は、チェーンストアでありながらも、個別に属人的な対応をしていかなければならないということだ。