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第24回

2013年11月2日

本田昌也さんの言葉

阿部 幸治

 9月20日、ジョイフル本田創業者の本田昌也さんが亡くなりました。1975年にジョイフル本田を設立し、翌76年の3月にホームセンター(HC)1号店となる「荒川沖店」(茨城県)を開設してから38年もの間、絶えず顧客満足を念頭に置いて品揃えを拡大し続け、22万アイテムも品揃えする従来の常識を覆す巨艦店戦略で、我が国ホームセンター業界に多大な影響と功績を残されました。

 外部環境や競争環境の変化で、多くのHC企業が効率化を重視する中で、本田さんは「すぐに利益に結びつけたがる、効率を追うビジネスをする気はさらさらない。即効性を求めすぎると経営はダメになる。そんなことよりも、お客さまに喜んでいただき、人がたくさん集まる店をつくることがいちばん大事だ」と繰り返し語っていました。


 ホンダ産業が扱う商品まで合わせると32万アイテムにものぼり、年1回転するかしないかわからないものまで品揃えしているのですから、とても効率が悪く映ります。ところが「結果として、広範囲からお客さまが訪れることで、小売店舗何十店舗分もの需要がジョイフル本田1店舗に集結し、店トータルでみると利益がきちんと出るのだ」と言います。


 たとえば千葉ニュータウン店(千葉県)はテナント売上も合わせると年間300億円も販売しています。それだけの繁盛店にするためには、効率化を図るのではなく、お客に支持してもらえる店を徹底的に作り上げなければ、とてもそんな数字には届かないでしょう。そのためにジョイフル本田では「お客さまに密着して、お客さまが何を望んでいるのかを知り、その望んでいる商品を開発し、売場でその商品をどう売っていくかということに注力する。それを徹底している」のです。


 利益がでるまで時間がかかるけれども我慢の経営を貫くことで、効率は後からついてくるというわけです。ところが多くの企業はそのガマンがなかなかできない。だから本田さんは「ジョイフル本田の店づくりは、おそらく誰にもマネできない商売のやりかただと自負している」のです。


「何も難しいことをしているわけではなく、どうしたらお客さまに喜ばれるかを突き詰めている。それが“お客さまのため”ではなく、“経営のため”になった瞬間、その会社はダメになる。そして、地域一番店を各地で作りあげ、それも1店1店異なる手作りの店を作る、というのが当社の経営ポリシー」というように、すべての店にこの本田イズムが脈々と流れている点が最大の強みであり、お客を誘引する最大の魅力と言えるのでしょう。


 私は、とくに本田会長の「“お客さまのため”ではなく、“経営のため”になった瞬間、その会社はダメになる」と言う言葉が強く印象に残っています。その“お客さまのため”、本田さんは80歳を過ぎても売場を精力的にまわり続けていました。そして9月20日、その売場で倒れて、帰らぬ人となりました。本田さんは最期の最期まで、“お客さまのため”を貫いたのです。
 

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