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第1290回

2013年10月25日

良品計画の捲土重来(1)

千田 直哉

「無印良品」を販売する良品計画(東京都/金井政明社長)の破竹の勢いが続いている。

 2014年2月期第2四半期決算(連結)の数字は、営業収益が1041億4700万円(対前期比14%増)、営業利益は97億2200万円(同2.3%増)、経常利益は106億4600万円(同9.3%増)、四半期純利益は65億1200万円(同36.8%増)の大幅増収大幅増益だった。

 2014年2月期通期(連結)の業績予想は、営業収益2062億6000万円(同9.5%増)、営業利益216億3000万円(同17.9%)、経常利益221億2000万円(同11.9%増)、当期純利益136億円(同24%増)。厳しい数字を発表した企業が多かった流通業界にあって際立つ1社となっている。

 前社長の松井忠三氏(現会長)の著作『無印良品は、仕組みが9割』(角川書店刊)の売れ行きが順調なこともあり、さまざまなメディアで同社が取り上げられる機会も増えている。

 そこで今日、明日の2日間、『ダイヤモンド ホームセンター』誌(ダイヤモンド・フリードマン社刊)2007年10月1日号に掲載した拙文を転載したい。

 赤字38億円からV字回復を果たした同社は何に注目して事業再生に取り組んだのかを今一度おさらいしたいと思う。

 なお、数字や人名、役職、企業名、店舗数などは掲載当時(2007年10月1日)のママとした。

 

 不良在庫を処分する

 

 良品計画(東京都/松井忠三社長)が好調だ。2006年2月期の営業収益(連結)は、1408億9000万円(対前期比9.7%増)、営業利益152億3400万円(同32.7%増)、経常利益156億5300万円(同32.2%増)、当期純利益93億4400万円(同47.2%増)と堂々たる数字を残している。

 

 2001年2月期に株式公開以来、初めて営業減益に喫した後、3期続けて営業減益を繰り返すなど、「良品計画の時代は終わった!」と手厳しい批判もあった。それが、目を見張るほどの急回復と成長ぶり。2001年、同社の代表取締役社長に就任した松井忠三社長の“守り”と“攻め”を同時平行的に進めた改革が奏功した格好だ。

 

 良品計画の成長神話が崩壊する中で社長に就任した松井氏がまず手を付けたのは、衣料品改革だった。創業以来、SPA(製造小売業)を志向してきた同社は、在庫を抱えながらの商売が必至だったが、その在庫コントロールに甘さがあったのだ。

「当時は社内の雰囲気は非常におっとりしていて、衣料品を2年かけて売ろうという考え方が支配していた。今年の秋冬に売れ残った商品は来年もまだ売れるという甘い考えがはびこっていた」(松井氏)。

 

 また、創業以来、連戦連勝を繰り返した企業は、発注も強気だった。「売上目標が100だとすると、建値販売が55%、残り45%を処分で売るので100の生産量では目標に届かない。そこで130くらい発注する習性になっていた」(松井氏)。

 

 しかし、その結果、鮮度感のない衣料品が売場に充満し、在庫は3年分に及んでいた。しかも、既存店舗の衣料品販売は対前期比20%減という異常事態が続いた。

 

 そこで、まず、松井氏が断行したのは、過年度在庫の処分だった。約38億円を特別損失で計上して処理する。加えて、初回発注量を80、残り20を追加生産する体制を構築した。

 

 同時に“攻め”の打ち手も施した。2002年にはデザイナーの山本耀司が率いるヨウジヤマモト(東京都)に衣料品のデザインを業務委託。ブランドイメージに統一感を持たせ販売強化に乗り出した。その結果、2006年2月期の衣服雑貨の売上高は444億300万円と対前期比で5.7%増と好調に推移している。

 

 不採算事業を縮小する

 

 2つめは、海外事業の問題だ。「50店舗、200億円」というアドバルーンをあげた海外事業は1999年ころから、「いけいけどんどんの時代」になった。「MUJI」がブランドとして浸透していないにもかかわらず、フランスのパリには一挙に8店舗を展開するなど採算ベースを無視した高速出店の結果、ほとんどの店舗が赤字に転落していた。

 

「企業というのはスローガンをぶち挙げるとそのまま猪突猛進してしまう傾向がある。格好の良いスローガンならなおのこと。だからそれは、トップがグシャっと潰してしまうしかない」(松井氏)。

 

 松井社長は、欧州に展開していた5店舗をスクラップするとともに、イギリス、フランスの両国にあった物流拠点をイギリスに一本化。商品も日本仕様の押しつけから欧州の消費者ニーズに即した商品へとスイッチした。また、出店も短期間でドミナントを構築するという作戦から、1店舗ごとの採算を重視するじっくり型の戦略に切り替え、利益体質への転換を試みた。

 

 ただし、海外事業については、次期成長の大きな柱と位置づけており、リストラ(事業の再構築)後には、新しい方針にしたがって再度、出店を進め、現在は、フランス(8)、イギリス(17)、イタリア(2)、ドイツ(2)、アイルランド(1)、スェーデン(6)、ノルウェー(3)、スペイン(1)、香港(5)、シンガポール(2)、台湾(7)、韓国(3)、中国(1)の合計58店舗を開業(カッコ内は展開店舗数)。さらに2007年中にはアメリカのニューヨークに1号店の出店を計画している。
 

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