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第1151回

2013年2月14日

日本マクドナルドHD 決算発表実況中継(3)

千田 直哉

 さて、今後の成長戦略についての2番めは、店舗改革を実施して、《2》店舗ポートフォリオを最適化することである。

 店舗についての利益率と伸び率を見ていくと、現在400店舗を展開する「ゴールドスタンダード」というドライブスルー付き大型店舗が明らかに好調だ。売上が小さかったり全メニューを提供できない約1200店舗の貢献度を上げることがさらに全店の売上や利益を上げていくことになる。

 中長期的には、①ブランドエクステンションと②フランチャイズビジネスの強化を挙げることができる。

 まず、①ブランドエクステンションということでは「マックカフェ」の拡大が挙げられる。これによって新しい顧客を創造し、スナックタイムの時間帯の売上を伸ばしたい。

 ちなみに、コーヒーの来店頻度は、2.0という数字を残しており、コーヒーチェーンの中では1番高い。

 2013年は全国の100店舗以上に拡大予定である。ちなみに2013年1月末現在の店舗数は41店舗だ。中長期的には全国で500~600店舗を展開したい。

 次に宅配の「マックデリバリー」である。対象エリアは店舗から半径7㎞。現在はテスト期間の位置付けであり、今年は250店舗を目指す。収益性や顧客満足度、継続性、普及率、購入頻度などを検証している。2014年から売上を飛躍的に伸ばしていきたい。フルポテンシャルは1500店舗、売上高は500億円以上と考えている。いまのところボトルネックは、バイク置場の確保だ。

 2つ目は②フランチャイズビジネスの強化であり、順調に直営店をFC店にシフトさせている。このところ既存店舗の売上にブレーキがかかっているので、移行のスピードはキャッシュフローとの兼ね合いで慎重にやっていく。

 投資の種類、その優先順位を間違えないようにしないといけない。既存店に対する最低の投資をおろそかにして新店を出店するというのは本末転倒になるので、順調に慎重に柔軟性を持ってやっていきたい。

 もうひとつ大事なことは、オーナーをもっと確保することである。これまではオーナーの家族の方、FCの社員の方、直営の社員がオーナーになるのが主流だった。今年からいよいよ外部の新しい参入者を募る。その活動を推進したい。

 

 2013年度は、1月~4月については、新しいマーケティングの組み立てに移行する期間になる。前述通り、季節限定メニューを戦略的に絞る。一時的な売上を上げるためにディスカウントプロモーションを避ける。そして質の高いビジネスの基盤をこの厳しい環境であるからこそやるべきだと思う。

 だから第1四半期(Q)は既存店舗の成長率を対前年度比10%減で設定している。そして第2Q~第4Qはプラスに転じさせ、通年ではほぼフラット。全店売上高は、プラス0.6%で何とかプラスを確保したい。そして増収増益を図っていきたい。

 これを分かりやすく言うと、1Qは減収減益、2Qは増収増益、上期は減収減益。下期は増収増益。通期では増収増益になる。

 具体的な数字にすると、2013年度の業績予想は、全店売上高5330億円(対前年度比0.6%増)、売上高は2695億円(同8.6%減)、営業利益252億円(同1.7%増)、経常利益240億円(同1%増)、当期純利益141億円(同9.6%増)だ。

 設備投資は、これまでは、既存店舗に対する投資がほとんどだったが、いよいよ設備投資は拡大の方向にシフトする。2013年度の設備投資額は185億円(対前年度比20.1%増)を計画している

 

 振り返ると社長就任9年目にしての減収減益決算。ある意味では残念だ。しかしマーケットシェアは上がっている。お客さまの満足度スコアも確実に良くなっている。

 もし過去の経営を踏襲して、新しい店舗戦略や戦略閉店、FC政策を放置していたら、今日の厳しい状況を乗り越えられなかったろう。だから私は、これまでやってきた打ち手は奏功したと考えている。胸を張りたい。

 これまでの戦略は間違っていなかった。だから、それを推進する。ただし、マーケティングのプログラムに関しては、もっと賢くマーケティングの投資効果を上げていきたい。2013年度は、その一つの過渡期である。
 

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