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第1150回

2013年2月13日

日本マクドナルドHD 決算発表実況中継(2)

千田 直哉

 次に2013年度の話をしたい。

 2012年11月の記者会見で話したことと戦略的な方向は変わっていない。そこでキーポイントだけ、リピートしたい。

http://diamond-rm.net/articles/-/7147

http://diamond-rm.net/articles/-/7153

http://diamond-rm.net/articles/-/7154

 

 まず、今後の成長戦略でフォーカスするのは、《1》マーケティングの強化だ。

 「VALUE」(バリュー)、「MENU」(メニュー)、「BREAKFAST」(ブレックファスト)、「CONVENIENCE(MDS/DT)」(コンビニエンス)の4つの柱で成長を図っていきたい。

 

 「VALUE」については、これまでは「100円マック」「バリューセット」などのセットメニューが主流であった。2005年に、ドリンクやフライドポテト、ハンバーガーなどを100円で販売することをスタートした時には、大変ユニークで独自性があった。しかし、いまやコンビニエンスストアでも100円メニューは充実しており、100円は、競合優位性も差別化にもなっていない。

 当社の強みは「バリュー・フォー・マネー」である。

 すべての価格帯でお得感、納得感が一番ある、という戦略だ。その意味では100円だけではなく、メニュー全体でお得感をさらに上げていく。

 その一環として、ハッシュドポテトは160円を120円に下げているし、5Pのチキンナゲットは260円を190円に下げているし、朝食コンビのドリンクサイズを同じ価格でSからMにアップしている。

 このように価格を下げるものもあるだろうし、今後は価格を上げることも検討していきたい。

 今は新政権になって円高から円安に急速にシフトしている。このインパクトは直接、間接的に原材料費高騰に動いていく。また、インフレターゲット2.5%ということは、人件費高騰を視野に入れるべきだ。しかも2014年度は消費税増税も控えているので、こうした動きを見据える必要がある。

 愚の骨頂と言うべきは、消費税増税のタイミングに合わせて、値段を上げ、消費税分をお客様にお支払いいただくことだ。そんなことをすれば、過去の歴史が示すように、消費が冷え込んでしまうこと必至だ。

 当社は、「バリュー・フォー・マネー」の認知度を早く上げて、値下げ値上げのバランスを調整する。そして、さまざまなコストアップを吸収できるビジネスモデルを早めにつくっておきたい。

 現在は、そのテストを福岡県でスタートしている。100円を120円にしたものもあれば、100円のまま継続しているものもある。一部のメディアでは、「100円を120円にこっそり値上げした」と書かれてしまったけれども、我々の説明不足だったと反省している。

 

 次に「メニュー」である。先に言うと、2013年1月の結果は、市場規模の縮小、天候要因などの影響も重なって、対前年度比17%減という大幅な減少を喫している。2月もマイナスが予想される。当社は、3月、4月までマイナスで推移すると予測している。ただ、競合のインパクトによるものではないと考えている。

 

 ただ、この減少は、意図的な意味合いを持っている。現在は、戦略的な切り替えをしており、その過渡期にはどうしても売上減少は免れない。

 なぜなら、①季節限定メニューへの対応を変更し、②短期的な売上アップのためのプロモーションの見直しをかけているからである。

 今年の序盤戦では、この2つを徹底的に見直す。これは昨夏からスタートした。

 

 季節限定メニューは、実施すれば、話題になり需要が喚起される。ただ、3~4週間の限定なので、継続的な収益という意味ではあまり数を増やすべきではないと考える。また、3~4週間のTVCMに費やすコストを勘案すれば、マーケティングのROI(投資対効果)という点でも効率は良くない。

 

 短期的なプロモーションについても同じことが言える。実は、短期的なプロモーションを2010年度、2011年度と同じように実施していれば、2012年度の既存店舗の3.3%減は、プラスで終わらせることができたと思っている。

 いまは我慢の時期だ。この1月は対前年比17%減だが、この数字は折り込み済み。季節限定メニューを投入せず、あえてビッグマックというコアメニュー強化を図り徹底した。2月も2012年のような短期的なディスカウントのプロモーションは一切やらない。マイナスになるかもしれないが、その状況を乗り越えていく。

 

 だからといって、今後、季節限定メニューを一切やらないということではない。

 まずは、「ビッグマック」や「フライドポテト」「チキンナゲット」など世界で一番売れているメニューを強化することで、ブランド資産をもうひとつ高めていきたい。

 そして季節限定メニューの中で、トップ4の実質的な売上を計上した実績があり、利益率も高く、認知度もかなり高い「てりたま」「チキンタツタ」「月見」「グラコロ」を改良したりして訴求することで、投資効果を高めていく。

 その一環として、2月の季節限定メニューは、「ビッグアメリカオールスターズ」を投入している。

 3番目のブレックファストについてだが、それを説明する前に、当社の独自の競争力は5つあると考えている。

 ひとつは、「メイド・フォー・ユー」。注文を受けてからつくるできたてを提供する。次にクオリティの高い「フードクオリティ(品質・安全)」の提供。さらには「クルーホスピタリティ」。4つ目はドライブサービスや店舗のロケーションに見られる「コンビ二エンス(便利性)」。5つ目がお得感、納得感である「バリュー・フォー・マネー」だ。

 これらを前面に打ち出したキャンペーンで他社から同業他社からお客様を獲得するとともに、新しいお客様の掘り起こしを図っていきたい。

 

 すでに当社の普及率は、外食産業全体では90%を超えている。ただし、これが朝食時間帯だけに絞って見てみると、33%に過ぎない。この潜在顧客を掘り起こしていきたい。

 その実現に向けて、2013年1月21日から毎週月曜日に特定商品が無料になる朝マック「フリーマンデー」というキャンペーンをスタートした。
 

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