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お客様の感動は、私たちにとっては、これ以上はない贈り物です。「この仕事をしていてよかった!」と心から思えるとき、働く意味、大事な人生の瞬間が、きらきらと輝いてくるのです。
「おもてなし」はかたちではありません。お客様に最高のものを提供しようとする、私たちの心、仕事の姿勢です。

2012年10月1日

高額だけど、またリピートしたくなる“いいおもてなし”とは

私をとりこにする故郷

 

“いいおもてなし”を味わいに何度も行きたくなる究極の旅館。

 

 リーマンショック、東日本大震災、ギリシャ危機、政治不安、そして韓国、中国との領土問題……。私たちを取り巻く環境は決して安心して生活しやすいとはいえない状態です。結婚、出産、キャリア、親の老後、自分の老後、将来の不安を抱えながらも、それを考えすぎてしまうと、気持ちがどうにかなりそうで、あえて考えないようにするために、ひたすら働く。そのような毎日を過ごしているのは、私だけではないと思います。

 

 そのような中、私の癒しとなっている“瞬間”があります。

 

 それは“いいおもてなしができた時”と“いいおもてなしを受けた時”です。

 

 その“瞬間”をご紹介していきたいと思います。

 

 羽田空港から飛行機に乗ること約1時間40分。たんちょう釧路空港に到着。その後、車で走ること約1時間で話題のパワースポット阿寒湖に到着します。湖の畔に あかん鶴雅別荘「鄙の座」という旅館があります。全25室、全室趣の異なるスイートのこの旅館は、決してリーズナブルとはいえない料金です。高額でありながら、いつも予約を取るのが難しいことで知られている人気旅館です。「鄙」とは「故郷」のことを指し、お客様のこころの故郷となることがコンセプトで、客室のことを「家」と呼んでいます。これを知ると全室がスイートである意味が理解できます。私たちが毎日生活している「家」はスイートなのですから。

※スイート:ベッドルーム、リビングルーム、ダイニングルーム、バスルーム、簡易キッチン、予備室などを備えた特別室(財団法人日本ホテル教育センター発行「宿泊業務論」参照)

 

 お出迎えから宿泊登録手続き、「故郷(旅館全体)」・「家(客室)」の案内は仲居さんが行い、滞在中同じ仲居さんがお世話をしてくださいます。宿泊登録証を記入するする場所は、ロビー奥にある阿寒湖を望むバーカウンターで行われます。

 

 仲居さんはカウンターに誘導しながら、さりげなくその後の予定などを尋ねます。

 

「お部屋に入って少しゆっくりしてから考えます」とその時は答えました。

 

 腰をかけるとまず、温かいお絞りが出てきます。温かいお茶とお菓子が運ばれ、それらを堪能しながら、宿泊登録証の記入を行います。

 

 その際、仲居さんは傍にはいません。少し離れた所でそっと私たちを見守っています。
宿泊登録証の記入が終わり、お茶とお菓子を堪能し、少し疲れが癒された頃に傍に来て、宿泊登録証に目を通した後、「家」へ案内します。

 

 移動中、心地よい声のトーンで静かに各施設の説明が行われ、天候の話や阿寒湖の様子などを温かい笑顔で話してくださいます。口数の少ない私たちに一方的に話をするのではなく、丁度よい量の会話の末、「家」に到着します。

 

カウンターから見える阿寒湖。

 

 

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