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第9回

2012年6月4日

スーパーマーケットとして
当たり前の商売ができる喜び

吉田 芳弘

ウジエスーパー取締役
吉田芳弘 よしだ・よしひろ
大学卒業後リクルート入社、平成16年からウジエスーパー勤務。 現在、総務・人事・広報の他に、障害者特例子会社を経営している。 東北経済産業局農商工連携伝道師など、公職多数。

被災地でものがあふれるようになる

 

 震災から数日が過ぎて、当所の極限状態がなんとか一段落すると、状況はめまぐるしく変化していった。

 

 震災後数日は、水やカップ麺、電池、赤ちゃんのミルクなど、命をつなぎとめるためにどうしても必要な最低限の一部の商品の需要が異常に高まり、あらゆるネットワークを駆使してそうしたものをかき集めて店頭に並べると、そのそばから飛ぶように売れていった。

 

 その半面、すぐに必要のない日用雑貨や、調理が必要な商品は見向きもされない状態である。

 

 それが、当面の危機が去り、電気が復旧しはじめ、徐々に食生活も日常に戻り始めると、ニーズが多様化してくる。

 

 さすがに、生鮮品はまだ満足に用意できないことは理解していただけたが、「納豆はないのか」、「豆腐はないのか」というお声がお客さまから聞かれるようになった。

 

 お客さまの求めるものをご提供するのが小売業の使命である。私たちは緊急便を飛ばして、関東の東京や神奈川、埼玉などから商品を調達してご提供した。

 

 そうした商品がまた飛ぶように売れていった。

 

 さらに、2週間ほどたつと、状況がまた大きく変わる。

 

 あれだけ飛ぶように売れていた水やカップ麺がぱたりと売れなくなった。

 

 原因は、このころを境に、国内・全世界から寄せられた救援物資が続々と現地に届けられるようになったことにある。 

 

 全国の自治体などに備蓄されていた緊急避難物資が被災地に送られ、企業や個人のボランティアが支援物資を抱えて現地に駆け付けてくる。

 

 たちまち、被災地では物資があふれるようになった。

 

 無料でいくらでも手に入るものを買う人は少ない。水やカップ麺が売れなくなったのは道理だ。その代りに、今度は嗜好品にニーズが変わってくる。

 

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