平和堂 食品シフト顕著に

2015/04/08 00:00
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 平和堂(滋賀県/夏原平和社長)が好調だ。連結決算の業績は以下の通り。

 

 ●営業収益 4192億8400万円(対前期比3.6%増)

 ●営業利益 141億3100万円(同6.1%増)

 ●経常利益 153億5600万円(同11.2%増)

 ●当期純利益 84億5300万円(同8.4%増)

 

 と増収増益だった。

 

 トピックスは、既存店舗伸長率が12年ぶりにプラスに転じたこと。とくに既存店舗の食品は好調で同3.1%増。その内訳は、客数同0.3%増、客単価同2.7%増、買い上げ点数同0.2%増、1品単価は同2.5%増だった。

 2015年5月22日に本格稼働を開始した多賀食品センターと多賀チルドセンター(ともに滋賀県)の貢献度も大きい。「24時間稼働なので店舗への第一便が当日日付になり、チャンスロスや廃棄ロスが極端に減った。年商12億円以下の店舗の鮮魚部門は100%供給したい」(夏原社長)。また2017年には、京阪神物流センターを稼働させる。

 エネルギーコストの上昇に対しては、LED化や省エネ冷機の導入、パート・アルバイトの人件費をアップさせながら人数減するなどの対策をとった。

 課題は減少傾向が続く衣料品と住居関連品だが、「根本的なGMS(総合スーパー)の売場の方向性が見えない」(夏原社長)ということで次年度への宿題と位置付けた。

 

 さて、2016年2月期の取組はどうなっているのだろうか?

 

 ひとつには、大型GMSから食品スーパー(SM)への出店業態シフトである。

 すでに食品シフトは確実に進んでおり、食品の売上高構成比は70%を超えている。

 実際、過去5年間のGMSの出店は1店舗のみ。単独店かNSC(近隣型ショッピングセンター)の核店舗としての出店が軸になる。居抜き物件への出店も強化し、新たな商勢圏の開拓に乗り出す。

 2016年2月期は、3月にフレンドマート宇治田原店(京都府:売場面積460坪)を出店したのを皮切りに平和堂春日井宮町店(愛知県:同610坪)を5月に。7月にはフレンドマート大河端店(石川県)を開業予定。さらに下期にはSM3店舗を出店する。

 

 2つめは、生鮮食品の強化である。

 農産部門では、陳列技術を向上させ、地場商品を拡大するなどの施策で売上高は同3.9%増、既存店舗では同1%の伸長が図られた。

 水産部門は競合他社との差別化を意識し価格以外の提案をすることで売上高は同11.2%増、既存店は同7.4%増加した。

 デリカ部門では、「名物牛肉コロッケ」「にしん昆布巻」「手造り鯖寿司」「手づくりおはぎ」「極旨いなり」「肉餃子」など、「わざわざ買いに来てもらう」名物商品をブラッシュアップすることで、売上高は同11.2%増、既存店舗は同7.4%増と堅調に伸びた。

 また、過去には不採算を理由にテナント導入にシフトさせていたインストアベーカリーを2013年から直営化に再方向転換。現在は7店舗を展開するに至るとともに、2016年2月期は6店舗を開業する計画だ。

 

 3つめは消費の2極化への対応だ。

「生鮮市」では「価値ある100円」の商品を取りそろえ、週販22万個を記録。また、一般食品のEDLP(エブリデー・ロー・プライス)商品は754億円を計上。67.3%の売上高構成比を見せる。さらにはHOPカードの会員向けの商品も充実させることで同社のファン化を促進した。

 畜産部門では、こだわりの部位の品揃え。また、牛肉ステーキを強化することで、ステーキの売上は14億4000万円。対前期比27.3%も伸長した。

 さらには上質のPB(プライベートブランド)である「E-WA!」で「大判あげ」「納豆」「シュークリーム」などの日配品や加工食品を中心に合計22品目開発。7億4000万円を売り上げるとともに、2016年2月期には新規に25アイテムを発売する予定だ。

 

 4つめは、消費者への提案強化だ。

 イースターなど季節感のある演出やわくわくドキドキ感のある売場づくり。

 衣料部門では、商品知識・接客レベルを向上させ、ランドセルなどの拡販を実施。また、住居関連部門では、寝具アドバイザーを33店舗に50人を配置。またメーカー、問屋、平和堂の3社でシニア研究会を立ち上げ、「美と健康フェア」では21社の協力で1605人が参加した。

 

 5つめは、HOPカードを活用した固定客づくりだ。

 現在、平和堂のHOPカードの会員は326万人。提示率は客数ベースで78.3%、売上ベースで84.8%ある。2016年2月期の新規カード会員獲得目標は27万人(前期は25万人)、モバイル会員は12万人(同11万人)を計画する。

 

 6つめは「平和堂ホームサポートサービス」(買い物代行と暮らしのお手伝いサービス)の拡充だ。2010年からスタートしたが現在は14店舗で実施。滋賀県内の11市町をカバーし、2016年2月期も新たに10店舗が増加する予定だ。

 

 こうした諸策を実施しながらの連結業績予想は下記の通りだ。

 

 ●営業収益 4410億円(対前期比5.2%増)

 ●営業利益 154円(同9%増)

 ●経常利益 159億円(同3.5%増)

 ●当期純利益 91億円(同7.6%増)
 

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