ウォルマートVSアマゾン

2014/04/15 08:00
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 ウォルマートは、アーカンソー州ベントンビルに超小型店舗を開業、実験を開始した。

 ディスカウントストア(DS)、DSに大型食品スーパー(SSM)を付加したスーパーセンター、SSMのネーバーフッドマーケット、コンビニエンスストア(CVS)のウォルマートエクスプレスに次ぐ、同社5番目のフォーマットで、その名は「Walmart to go」(ウォルマート トゥ ゴー)。利便性を追求した店舗で、CVSの品揃えに調理済食品を加え、強化。ガソリンスタンドも併設する。

 

 この開発の背景にあるのは、米国市場における自社店舗の飽和感だ。

 ウォルマートは、2012年度末時点ですでに米国内に4005店舗を展開している。そのうち売場面積1万2000㎡級のスーパーセンターは3158店舗。米国の人口を3億人として試算すると、スーパーセンター1店舗当たりの人口は9万5000人を割っており、さすがに出店余地は、それほど残っていない、と見るのが妥当だろう。

 これらスーパーセンターの隙間を埋め、ドミナントエリアのシェアを上げることが「Walmart to go」を開発する思惑のひとつとみられる。

 

 もうひとつの大きな要因は、アマゾン・ドット・コム対策だ。

 米国内におけるアマゾンの存在感は日増しに大きなものになっている。アマゾンは、書籍のECリテーラーにとどまっておらず、めざすは「地球一の品揃え」。ウォルマートが取り扱う全ての商品が品揃えの対象であり、生鮮食品のデリバリーも「アマゾン・フレッシュ」の名前で一部のエリアにおいて実施している。

 

 アマゾンの売上高は約6兆円とウォルマートの約46兆円に対して規模的にはと8分の1程度に過ぎない。だが、株式時価総額はウォルマートの25兆円に対してアマゾンは15兆円と5分の3にまで達している。

 その拡大にストップをかけるべく、実店舗を持つことの優位性強化に加え、アマゾンの強みのひとつである「消費者のドアまで物流」(=ラストワンマイル)に楔を打ち込もうとしていることは想像に難くない。

 「Walmart to go」の大量出店とドミナント化をなんとしても推し進め、アマゾンの躍進に待ったをかけたい、というウォルマートの気迫が伝わってくる。

 

 さて、ここから先は、想像の領域になるのだが、きっと、アマゾンが脅威を感じさせ、刺激している小売業は、ウォルマートだけではないはずだ。

 

 カルフール(仏)、テスコ(英)、メトロ(独)、イオン(日)、セブン&アイ ホールディングス(日)、ウールワース(豪)などなど…世界各国のトップリテーラーは、次の5年以内にウォルマート同様、アマゾンとの“異種格闘技”戦に臨まなければならないところまで攻め込まれるに違いない。

 
 

 

 

 

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