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第1回

2009年10月7日

プライベート・ブランドの過去・現在・将来

中村 博

 欧米の小売業のプライベート・ブランド(以下PBとする)のマーケット・シェアは確実に増加している。図表1の小売業の規模とPB比率およびメーカーの規模をみていただきたい。Wal-Martの売上高に占めるPBシェアは40%で1,260億ドル(12兆6,000億円)、Carrefourは25%で240億ドル(2兆4,000億円)、Metro Groupは35%で260億ドル(2兆6,000億ドル)、Tescoは50%で360億ドル(3兆6,000億円)といったように高い。一方、世界最大の食品メーカーであるNestleの売上高は750億ドル(7兆5,000億円)、P&Gの売上高は570億ドル(5兆7,000億円)とWal-MartのPB売上高より低い。今やWal-Martは世界最大の工場を持たないメーカーである。他のグローバル小売業の売上高も主要メーカーの売上高に匹敵する規模を誇る。

 

 欧米の小売業のPBシェアが高いのは景気後退の要因もあるが、主たる理由は小売業の上位集中化である。例えば、食品小売市場に占める上位5社の売上高のシェアはイギリスで約50%、フランスで約45%、アメリカで約40%、ドイツで約30%であり、企業規模が大きい小売業のシェアは高い。小売市場で企業の上位集中化が起きると、各小売企業は「競争の差別化」をはかり、ストア・ロイヤルティを高めようとする。PBは当該小売企業のみが扱うブランドであり、排他的であり、競争の差別化の有力な手段である。

 

 

 日本でPBが注目されたのは、自らを「PB大魔王」と名乗ったダイエーの社長であった故中内功氏のPB開発導入である。故中内氏は1970年に独自開発の低価格カラーテレビ「BUBU」を導入し、その後、食品を中心とした「セービング」を導入している。しかし豊かさで満たされつつあった消費者は低価格でも心動かされず、安物PBを購買することはなかった。結局、安かろう、悪かろうのPBは消費者の支持を得ることはなく、1980年代後半には勢いを失った。

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