ファーストリテイリング2013年8月期決算実況中継(中)

2013/10/12 00:00
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 ユニクロのコンセプトである「MADE FOR ALL」をさらに進化させ、世界中の人々の生活をより豊かに、より快適に変えていくということで、現在われわれは、新たに「LIFE WEAR」というコンセプトを掲げている。

 

「LIFE WEAR」とは、これまでになかった新しいカテゴリーの服、「未来の服」だ。

 

 ファッションの世界においては、欧州ではドレスが誕生し、米国では作業着を昇華させジーンズが生まれた。そしてジーンズを端緒にしてカジュアルウエア、スポーツウエアと発展していったことは周知のとおりだ。

 ユニクロは、カジュアルウエアとスポーツウエアの次に来るべき、新しいカテゴリーの「未来の服」を創りたい。

 それは、高品質でファッション性があり、ベーシックな普段着として、着ていて心地よい、日常を最も快適に過ごせる服だ。

「LIFE WEAR」を代表する商品としては、「フリース」「ヒートテック」「エアリズム」「ウルトラライトダウン」「カシミヤセーター」などを挙げることができる。

 今後も、このような商品を次々と出し続けていきたい。

 

 また、ユニクロは、グローバル化と平行して、ローカル化も推し進め、「LIFE WEAR」を提供していきたい。

「LIFE WEAR」は、また、それぞれの国の日常生活に密着した服であり、人々の日常をより豊かにする服である。

 だから、前述通り、米国市場においては、郊外ショッピングモール内への本格出店にともない、米国人の普段着をもっと開発していきたいと考えている。実はグローバル化を進めるということは、同時にローカル化を進めなければいけないということなのである。

 

 さて、2013年8月期の国内ユニクロ事業についても話したい。

 売上高は6833億円と対前期比10.2%増と大幅増収だった。既存店売上高は同7.3%増(客数同12%増、客単価同4.3%減)。「ヒートテック」「ウルトラライトダウン」「ウルトラストレッチジーンズ」「エアリズム」「レギンスパンツ」「ステテコ&リラコ」といったコア商品を中心に販売は好調に推移した。期末店舗数は同10店舗増の834店舗(FC店19店舗を除く)となった。

 ただし、消費者の価格志向が強く、値引き商品に人気が集中したことと、販売不振商品の大幅な売価変更を行ったため、粗利益率は同1.8ポイント減の46.5%。営業利益は968億円(同5.4%減)という減益を喫した。

 2013年8月期上期は、限定価格や低価格訴求に関しては成功した。しかし下期、とくに春夏の単価の低い商品に関してはあまりうまくいかなかった。それは付加価値の高い商品ラインナップがあまりなかったからだ。数量は売れたのだけれども、われわれが「LIFE WEAR」と名付ける付加価値の高い商品の構成比率が低かった。

 だから、2014年8月期は、より工夫を凝らした商品、あるいは今までにない価値を持っている商品を柱に注力しいきたい。その代表は、この秋冬に力を入れる「カシミア」と「シルク」だ。われわれは、これまで機能素材に注力してやってきたけれども、天然素材のよさを改めて訴求していきたい。

 

 減益のもうひとつの原因は、昨夏は、「ステテコ&リアコ」が売れすぎて欠品したことだ。

 逆にいえば、独自性があり、特徴のあり、付加価値がある商品を複数買ってもらうことが重要であるということであり、そのように切り替えていきたい。

 

 販売促進についても、チラシの超目玉商品の比率を下げ、値打ちのある商品をお試し価格で提供するようにしたい。価格依存型の販促を商品のイメージや商品情報などに重点を置いたものに変えていく。たとえば、「ヒートテック」や「ウルトラライトダウン」を着用することにより寒い冬でも薄着でおしゃれができるようなり、夏なら「エアリズム」「ステテコ&リラコ」で涼しく過ごせる、といった提案だ。

 このような形で粗利益率や経費をコントロールし、2014年8月期以降は、国内ユニクロ事業を増益にしたい。

 

 ユニクロは、日本国内においては、依然としてロードサイド店のイメージが強い。そこでグローバル旗艦店・グローバル繁盛店を前面に押し出すことによって、ブランドイメージを変えていく。銀座店、ビックロ ユニクロ新宿東口店に続き、2014年春には、東京の池袋と上野にグローバル旗艦店を開業させる。

 

 次に、グローバルブランド事業についてだ。2013年8月期の売上高は2062億円(対前期比34.8%増)、営業利益は174億円(同20.1%増)だった。

 

 ジーユー(GU)事業の拡大が続いている。2013年8月期は売上高837億円、営業利益は76億円に達している。

 ファーストリテイリンググループの第2の事業の柱に位置づけ、2014年8月期は売上高1000億円以上、利益率アップを目指している。

 ジーユー事業は、ファッションと低価格のブランドとして、日本国内でのブランド認知度は85%まで高まっている。また、この9月30日に上海に1号店をオープンし、大成功を収めている。

 

 セオリー事業は、通期で増収増益、過去最高の業績を更新。2014年8月期は世界各国に49店舗を出店し最高益更新を狙う。

 コントワー・デ・コトニエ事業、プリンセス タム・タム事業の営業利益は計画を下回り減益。2014年8月期はほぼ横ばいの業績を見込む。

 J Brand事業は営業利益は計画に達しなかった。この10月9日に直営店1号店を阪急うめだ本店内に開業した。
 

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