周年セール、優勝セール

2012/12/04 00:00
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 「周年セール」は、ほとんどの小売業が実施している販売促進策である。

 チェーンストアの勃興期から逆算すれば、現在は、50周年、40周年、30周年辺りの「創業○○周年セール」が主流なのではないだろうか?

 ただ「周年セール」には中毒性があるから要注意だ。

 とくに株式を公開している企業は、「周年セール」が成功し、売上が大きくなるほど、前年実績をクリアするために、翌年もやらざるをえなくなる。

 そうなると51周年、52周年、53周年…と毎年のように継続せざるをえなくなり、「いったい、50周年の大セールは何だったんだ?」ということになる。

 

 毎年、「創業祭」というタイトルでセールをするのであれば、格好はつくけれども、今度は10年、5年単位に開かれる大セールの有難味は薄れてしまう。

 スポーツの優勝チームに便乗するセールも同じだ。前年度につくった売上をクリアするためには、応援しているチームが優勝しなくとも、「残念セール」や「感動をありがとうセール」などをせざるをえなくなっていく。

 消費者から見れば、「おたくは、本当はどのチームを応援しているの?」ということになる。

 これがセールの中毒性である。

 しかも、賢い消費者は、季節催事として恒常的に開かれるセールには踊らされなくなり、衝動買いはせず、必要で安いモノだけを選んで購入するようになる。

 

 本来であれば、「周年セール」や「優勝セール」に取って代わる新しい切り口のセールのアイデアをひねり出したいところ。だが、そのアイデアも初年度に成功すれば、2年目以降は、前年実績クリアのためのセールになってしまうのだろう。
 

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