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第16回

2011年12月12日

欧州でのJoint Business Planの取り組み

矢矧 晴彦

JBPは日本でも流行の兆し

 

 日本でも大手チェーンと大手消費財メーカーとの間で、JBP(Joint Business Plan)の取り組みが盛んになってきた。西友がWalmart配下に入り、Walmart流のマーチャンダイジングの一環として、JBPを実施し始めたことがきっかけである。

 

 その後、他の小売業でもJBPの実施をメーカーに求めるケースや、逆にメーカー側から小売業にJBPの実施を提案するケースが出始めており、いまや日本でも流行になりつつある。

 

 JBPは、カテゴリーマネージメントやCPFRなどと違い、業界団体において活動テーマとして取り上げたケースはなく、公式な定義や実施方法の標準形といったものがあるわけではない。そのため、本来の趣旨と外れた活動をJBPと称して活動しているケースも出てきた。

 

 JBPは、売上高や粗利益額の目標、それに伴うリベート等の条件を定めるだけの、年契商談のようなものではない。小売業とメーカーが直面している課題をお互いに理解した上で、それを解決していく活動である。本稿では、欧米では実際にJBPをどのように実施しているのか、ECRバルチック(エストニア、ラトビア、リトアニア)にてTescoとNestleが発表した事例を基に説明をしてみたい。

 

NestleとTescoでのJBP

 

 この事例は、NestleとTescoがポーランドで2008年に行ったJBPの取り組みであり、ECRヨーロッパの下部組織である、ECRバルチックにて両社にて発表された。

 

 JBP実施当時、Tescoはポーランド第3位の小売業で、大型のハイパーマーケット業態ではNo.1、ポーランド国内に326店舗(内、ハイパーマーケットは53店舗)を展開していた。

 

 そもそもTescoとNestleがJBPを始めたきっかけは、2003年のイギリスにあった。当時イギリスTescoの売上は成長しているにもかかわらず、Nestle社商品のTescoでの売上が落ちてしまった。そこでNestle商品の売上の回復のために、それまでの原価や割引条件の交渉を中心とした商談スタイルを改めることにした。ここからNestleとTescoのJBPの歴史が始まった。

 

 今回の事例は、このイギリスでの取り組みの経験を踏まえて、ポーランドで実施したものである。グローバル企業同士の取り組みは、一度成果を上げると、横展開をするのが早い。

 

1)課題認識

 

 ポーランドでも、まずNestleは現実に真摯に向き合い、課題を正しく認識することから始めた。課題とは、Tescoの立場でのNestleの課題や、Tescoの買物客(ショッパー)から見たNestleとNestle商品が属する商品カテゴリーでの課題である。従来の価格や条件を巡る対立したコミュニケーションではなく、真摯にTescoがNestleに対して感じている課題に耳を傾けた。同時に、Tescoで買物をする顧客についての調査を実施し、ショッパーの評価を理解するように努めた。

 

 その結果、以下にあるような課題がいくつか浮かび上がってきた。

 ・○×商品カテゴリーの定番棚での商品の陳列が判りにくく、商品を選び難い

 ・△□商品カテゴリーの商品は、店頭で欠品しているケースが少なからずあり、特に販促対象の場合に欠品が多い

 ・○×商品カテゴリーでの新商品の導入や、販促を実施している商品があることをショッパーは十分に認識していなかった

 等々

 

 対象とした9つの商品カテゴリーにて両社共同で、このような課題の認識を行った。

 

NestleとTesco協働でのJBPワークショップ開催風景/出典:ECRヨーロッパ

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