賃金高騰の中国沿海部

2010/03/18 00:00
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 現在の中国では、賃金高騰が顕著になっている。沿海都市部の大学新卒の初任給は5000元(約6万5000円)ほどある。大卒で就職している男性はたいていの場合、大卒女性と結婚して共働きしているので、世帯年収は1万元(約13万円)に上る。

 

 中国の中間層は、「ルイ・ヴィトン」などのブランド物や携帯電話などの最新家電製品、自動車などを、手を伸ばせば購買できる収入を得るようになった。

 

 中国では中間層の収入だけでなく、基礎賃金が高騰している。

 その理由はいくつかの条件が重なった結果だ。

 まず、これまで沿海部で進めてきた経済自由化で稼いだカネを内陸部に向けて再投資しており、内陸部も徐々に潤ってきたためだ。

 出稼ぎで沿海部に居住していた若者は、内陸部が栄えるにつれて、Uターン就職を始めている。春節(旧暦のお正月)で地元に戻った若者を待つのは年老いた両親。1979年から始まった「一人っ子政策」で兄弟姉妹を持たない大事な跡取りを簡単に都会には帰さない。

 そして春節休みが明けると、沿岸部では退職者が続出し、需給バランスが崩れ、賃金が高騰するのだ。

 

 それにともなって、沿岸部の人手不足は深刻であり、工場の賃金も高騰。労働集約的な産業が中国で生産するメリットはなくなりつつある。

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