ボクちゃん・ジョウちゃんが担うニッポンの未来

2009/12/03 05:12
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 生まれた時から、テレビゲームやケータイに囲まれた生活のボクちゃん・ジョウちゃんたちは、キーやボタンを打つのが大好きで、人間とは、あまり会話をしない。

 その上、ゆとり教育で甘やかされ、勉強をしないから、言葉を知らない。言葉を知らないから、自分の感情を他人に表現する術が分からない。だから昔気質の親方よろしく、つい先に手が出てしまう――。

 

 文部科学省が発表した「問題行動調査」(対象約3万9000校)によると、全国の小、中、高校が2008年度に確認した児童生徒の暴力行為は5万9618件で対前年度比13%増と過去最多を更新した。小学校は同24%増、中学校は同16%増、高校生は同3%減だった。暴力の種類で最も多いのは「生徒間」の3万2445件で全体の54%。「器物損壊」が1万7329件(同29%)、「対教師」が8120件(同14%)となっている。

 

 そら恐ろしい気がする。

 

 だが、この話にはまだ続きがある。

 ボクちゃん・ジョウちゃんたちは「K1」や「DREAM」「戦極」「UFC」「ハッスル」などの格闘技コンテンツに熱狂して、さらに好戦性を帯びるようになる。

 一方、実力ある日本人選手がメジャーリーグや海外プロサッカーリーグに流出し、国内スポーツの人気が衰退の兆候を見せるなかで、ボクちゃん・ジョウちゃんたちは、日本代表(=ナショナル)チームに大興奮。アメリカ、南アフリカへの弾丸ツアーでの応援は当たり前。選手の国際化がボクちゃん・ジョウちゃんの国粋化の流れを後押しする。

 

 そして、数年後には、そんなボクちゃん・ジョウちゃんたちが社会に出る。

 そこに立ちふさがるのは、先達たちが解決できていない国際問題の数々。でも、相変わらず、話し合いは苦手。歴史の勉強はしてこなかったけれども、ニッポンのことは大好きだから何とかしたい――。

 結局、ボクちゃん・ジョウちゃんたちは、武力行使の道を選び、ニッポンは一気に戦場と化すのであった。

 (なお、この話は、文部科学省の発表を除いてすべてフィクションです。)

 

 月並みな言い方になってしまうが、こんな事態にならないように、家庭でも学校でも地域でも職場でも、私を含めた大人たちが子供たちとしっかり向き合って、もう一度、教育を施すことに力を入れなければいけない。

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