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2009年8月19日

電子マネーの今を総括する

岩田 昭男

ジャーナリスト 岩田 昭男氏

電子マネーの普及は提携による利用範囲拡大がカギに

 

 2007年は各種の電子マネーが登場し「電子マネー元年」と呼ばれたが、今年は本格的な普及が始まったということで「電子マネー利用元年」と言うことができるだろう。私の周囲でも電子マネーを悪く言う人は少ないが、これはカードをかざして改札口が開くとか支払ができるという点が非常に新しいというイメージで受け取られているからと考えている。


 野村総合研究所(NRI)の予測によると非接触ICを用いたポストペイ、電子マネーの決済市場は今年が1兆3783億円なのに対して2012年には3兆2695億円に右肩上がりの成長が続くとしている。私は、非接触IC電子マネーの普及が大きいのではないかと見ている。日本経済新聞のデータで主な電子マネーの発行枚数を見るとEdy4320万枚、Suica2347万枚、PASMO1028万枚、nanaco631万枚、WAON590万枚などとなっている。SuicaとPASMOを連合体としてみると3300万枚以上の発行枚数となる。SuicaとPASMOを合わせて月間利用件数は今年7月には3271万件に達して利用件数で言えばトップになった。JR東日本では、2010年度には月間2億8000万件を目指している。現在の8倍の規模だ。その理由はJR西日本のICOCAなどJR系での相互利用、さらにWAONやiDとの共用端末もカギになるだろう。また、Suicaポイントの加盟店が増えているのも強みだ。


 コンビニ業界での電子マネー普及については最大のセブンイレブンで使用できるnanacoの貢献は大きい。1%のポイントは破格であり、さらにセブンイレブンとイトーヨーカ堂、デニーズなどグループ内利用が本格化し利便性も高まっている。これに対抗するのがWAON。イオングループでの使用に加えSuicaと共用の端末も強みになっている。さらに2009年3月からは吉野家でも使用可能になるなどグループ外の利用にも弾みがつきそうだ。


 これからの課題という点で、普及のためにこのグループ外への利用をどのように進めるか、商店街など地域との連携、携帯電話の活用などがあげられる。またクレジットカードとの効果的な連携による顧客囲い込み、タイプA/B、NFCといった国際標準を導入による海外進出も課題だろう。しかしこれらには投資を含め時間がかかるし、消費者の支持を得て着実に進めていかなければならない。今後、改正割賦販売法によりクレジットカードの入会・更新審査が厳しくなり総量規制によるクレジットカード離れが起きることも考えられ、その反動で審査のない電子マネーへのシフトが進むと私は予想している。

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