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2018年4月24日

ダイヤモンド・リテイルメディア・セミナーレポート
アマゾン時代 リアル店舗の在り方
新しいスーパーマーケット創造2018
同質化、寡占化、ボーダーレス化の進展の中でどう生き残るか

【講演2】

「ボーダーレス・再編時代のスーパーマーケットの経営戦略」

進化を続けるアクシアルのMD戦略


アクシアル リテイリング株式会社
代表取締役社長
原 和彦 氏

 

「収益性は高いが強みに欠ける」が課題として浮上

アクシアル リテイリング株式会社
代表取締役社長
原 和彦 氏

 2013年、新潟県を地盤とする原信ナルスは、群馬県を拠点に栃木県、埼玉県にも店舗展開するフレッセイと経営統合した。現在はアクシアル リテイリングとして原信ナルス78店舗、フレッセイ51店舗を擁している。株式公開している食品スーパーの中では、16年度売上高2289億円で9位、経常利益約92億円で7位、経常利益率は4.0%で4位というポジションにある。

 

 これまで地域のスーパーなどの経営統合から業容を拡大してきた。2000年以前は当時、米国で優良スーパーと言われていたアルバートソンズを真似て標準化や商品の絞り込みを行ったが、核となる商品や核となる売場がなく、MD(商品政策)よりもシステムを重視するスタイルだった。これにより小ぎれいだけど何が売りたいのか方向性がない、収益性は高いが強みに欠ける企業になっていたところがある。

 

 そこで2001年から「ニューコンセプト」として、これまでのスタイルから「提案型」MDへの転換を図った。品揃えもカテゴリーを揃え、大中小や上中並、用途別といったマトリクスを引いて商品を並べ、調理見本やレシピなど関連販売や食べ方提案にも力を入れ、地域商材も増やしていった。当初は順調だったが、ここで思わぬことが起きた。

 

「新潟戦争」を機にMD改革を加速・拡充

 原信ナルスは長岡市内でしっかりとドミナントを構築していた。しかし、2003年10月に市内に売場面積2000坪の大型店が出店、その翌週には隣接する見附市に5000坪のスーパーセンターが開店、さらに1カ月後には3000坪のスーパーセンターも進出してきた。これを業界では“新潟戦争”と呼んだが、競合の出店によりお客さまの流れが変わるだけでなく、主要商品の相場も一気に下がった。そして2003年度は減益になった。

 

 それまでチェーンストアとしての基盤整備に力を入れ、24時間営業などサービスも拡充してきた。しかも上場企業として「減収減益はできない」という思い込みもあった。しかしこの「新潟戦争」で気づかされたのは、われわれに強みがなく真っ向勝負を避ける体質だったということ。そこでハイ&ローやコモディティ商品のESLP(エブリデー・セイム・ロー・プライス)化などの売価政策も取り入れ、単品の大量販売に舵を切った。そこで「販売数量日本一」を意識しながら、「自信」を持ってもらうように努めた。

 

 しかし2004年には大規模な水害や中越地震に見舞われて、事業に大きな影響が出た。そこで否応なく気づかされたのは、競争は避けられず価格対応はしなければいけないということとライフスタイルの変化とともにわれわれも変化し続けなければならないことだ。

 

 「増収増益」は絶対的な金科玉条ではなく、柔軟な発想が必要ということ。スーパーは地域から必要とされている業種であるということだ。

 

MD改革で坪当たり売上高改善もより強いMDの必要性も

 そうした気づきを経て、「ニューコンセプト」を加速。2004年度以降、災害復旧を含めて店舗の改装や新規出店を進めた。それが奏功して2000年前後は500坪で267万円だった坪当たり売上高は、2009年の段階では約600坪と店舗が大型化しているにもかかわらず、坪当たり345万円を売り上げることができるようになった。一方で、さらなる成長のために、より強いMDが必要という考えも出てきた。

 

 そこで新たなフォーマットとして「ニューコンセプトⅡ」と昇華させ、普段使いや提案、名物商品などの新たなMD、あか抜けた売場づくり、生産性の高い店舗という3つの柱で改革を実施した。

 

 「ニューコンセプトⅡ」では買い上げ頻度の高い野菜、日配商品の価格訴求、さらに商圏を広げる酒類や水産売場の品揃え拡充、高品質の肉やおいしさを追求した総菜で店舗イメージ再構築に取り組んだ。その結果、平均売場面積をより拡大させながら、坪当たりの売上は357万円に向上した。

 

ネットスーパーはヤマトの宅配使い投資抑制

 さらに15年10月からは「毎日の食生活に豊かさ、楽しさ、便利さを」を掲げ、「ニューコンセプトⅡ」をマイナーバージョンアップした「ニューコンセプトⅡ+」をスタートさせた。

 

 新たに「セントラルマーケット」をオープン。そこではライブ感の演出や専門店・ショップ化、和洋菓子をはじめ統一ブランドの育成を図るだけでなく、人口減少・少子高齢化対策として健康ニーズと、核家族化と共働き世帯の増加から時短ニーズへの対応をねらいに据えた。さらにそれまで商品ごとに縦割りの部門別から、食卓シーンを意識した売場づくりへの転換も図った。

 

 2011年9月には「ニューコンセプトNet」として新潟県内を対象にネットスーパーも開始した。「当日10時までの注文で当日配送」を謳っており、店舗出荷型で無料配送ではなくヤマトシステムの宅配を活用することで投資を抑制している。最近では個人利用だけでなく、グループホームや託児所といった法人会員の利用が増えている。

 

「簡便性」「快適性」「生産性」の向上が新たなねらい

 今年3月に開業したのが「ニューコンセプトEx(エクスプレス)」だ。

 

 現在当社は、坪当たりの売上は堅調だが、人時売上高は伸び悩んでいる。そこで生産性向上を図るための取組みと位置づけている。「ニューコンセプトⅡ+」では、品揃え拡充が強みとなったが、反対に手間がかかるという弱点もある。

 

 なによりも社会環境は大きく変化してきた。そこで「簡便性」「快適性」「生産性」を重視した新たなMD戦略を進めたい。お客さまに訴求するポイントは、手早くパッと買物できる店舗づくりや手早くおいしい食事を楽しめる店舗。それを実現する最初の店舗が「原信 エクスプレスマーケット城岡店」(新潟県長岡市)だ。店舗レイアウトを半分に分けて片方を即食・簡便ゾーンとして利便性を追求する。さらにセントラルマーケットとして既存店の1・5倍に拡大した店舗や、物流センターの整備、自動発注システムの見直し、プロセスセンターやコミサリーの再構築も順次着手していく。

 

 

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