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2018年4月1日

『世界最先端のマーケティング
顧客とつながる企業のチャネルシフト戦略』
奥谷孝司・岩井琢磨著
(日経BPマーケティング/1800円〈本体価格〉)


 

 アマゾンゴー、米ホールフーズ・マーケット(Whole Foods Market)買収…米アマゾン(Amazon.com)はなぜリアル店舗を展開するのか。

 

 この問いに対し、本書は単なる「販路の多様化」ではなく、「顧客行動データを掴むためのチャネルシフト」だと答える。EC王者アマゾンによる「オフライン」への進出はリアル店舗だけでなく、「アマゾンダッシュボタン」や「アマゾンエコー」などのデバイスでも行われている。

 

 このようにアマゾンはオンラインだけにとどまらず、オフラインでの顧客行動を把握することで、マーケティング戦略要素のPlace(チャネル)、Promotion(販促)、Price(価格)、Product(商品)の「4P」の革新を進めているのである。

 

 オンラインとオフラインで顧客と複数接点を持ち、チャネルを横断した顧客管理を行うことが「オムニチャネルの本質」だと本書は指摘する。その意味では、チャネルを横断して顧客管理ができている企業は少なく、オムニチャネルは始まったばかりともいえる。

 

 アマゾン以外のオムニチャネルの成功事例もある。その1つが、レンタルアパレルの米LE TOTE(ル・トート)である。ル・トートは「アパレル業界のネットフリックス」と呼ばれており、オンラインに軸足を置きながら、レンタル業だけでなく、買い取りも視野に入れたビジネスを展開している。つまり、「あえてレンタルの形を取って商品を顧客のもとに送り込み、自宅というオフライン空間で商品を選択させている」のである。日本の事例では、「ZOZOSUIT」やニトリの「手ぶらdeショッピング」が取り上げられている。

 

 アマゾンを筆頭にチャネルシフトに本腰を入れる企業が増えてきている。激動の時代に生き残るためには、リアル店舗を軸とする小売企業もチャネルシフトを避けて通れないだろう。本書にはそのヒントが詰まっている。

 

 

(『ダイヤモンド・チェーンストア』2018年4月1日号掲載)

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